2023/04/25

米国eHealthジャーナル第86号

Viz.ai、肥大型心筋症の早期発見でBMSと提携

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AIアルゴリズムのFDA承認に向けデノボ申請を提出

人工知能(AI)を利用した疾患検出とケア管理に特化するカリフォルニア州サンフランシスコ拠点のViz.aiは3月3日、 肥大型心筋症(HCM)の早期発見と管理を目的として、米製薬大手のBristol Myers Squibb(以下、BMS)と提携したことを明らかにした。複数年の提携契約に基づき、 Viz.aiは医療サービスプロバイダーのワークフローを支援する「Viz HCM」と名付けられたAIソフトウェアを配備する。

HCMは、200~500人に1人の割合で発症する、最も一般的な遺伝性心疾患であり、また35歳未満における突然死の主要な原因の1つだ。多くの患者が未診断のままでいるため、HCMが疑われる患者をより早く特定するための解決策を見つけることが課題となっている。

出典:Shutterstock

Viz HCMは、医療機関においてルーティーンで実施される心電図(ECG)を自動的にレビューし、さらなる評価が必要と考えられる患者を特定し、トリアージすることを目的としたAIアルゴリズム。HCMの疑いがあるケースを特定して適切な循環器専門医に通知することで、医師が患者のECGをタイムリーに確認し、標準治療と並行してフォローアップの診断検査を推奨するなど、適切な臨床措置を講じることを可能にする。Viz.aiは、同アルゴリズムをSaMD(Software-as-a-Medical-Device)としてFDAにデノボ(De Novo)申請を行い、受理された。

2016年設立のViz.aiは、AIアルゴリズムと機械学習(ML)を用いて診断とケアのスピードを向上させるパイオニア企業で、同社の技術は、米国と欧州の2億人以上の人々に医療ケアを提供する1,300以上の病院と医療システムにおいて利用されている。2018年2月には、CTスキャン画像の分析を実施し、脳卒中が検出された場合に臨床医に通知する、臨床意思決定支援(CDS)ツールの「Viz.ai Contact」が、De Novo経路でFDA承認を獲得した。

Viz.aiは2月には、被験者登録プロセスの加速を目的としてJohns Hopkins UniversityのBIOS Clinical Trials Coordinating Center(以下、BIOS)と提携に至った。同提携では、脳内出血を適応症としたBEACHと呼ばれる臨床試験において、被験者登録プロセスを加速させるとともに、多様性ある被験者の登録を目指している。BEACH試験は、損傷および疾患によって誘発された炎症性サイトカインの過剰分泌を選択的に抑える働きを持つ低分子医薬品候補のMW189について、その安全性と忍容性を検証するもので、国立衛生研究所(NIH)からの資金提供を受けて行われる。Viz.aiのクラウド基盤の臨床試験加速プラットフォーム「Viz RECRUIT」をBEACH試験に利用することで、被験者候補の医療用画像をリアルタイムでスキャンし、試験目的に合致する患者を自動的に特定して、BIOSの研究班に通知することにより、多様性のある被験者の大規模な登録を迅速に行うことを支援する。

(了)


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