2022/02/22

デジタルヘルス討論会

現役臨床医によるオンライン座談会 【第1回】

AI技術, デジタルセラピューティクス, 画像技術, 臨床医, 医療コミュニケーション支援, テレヘルス, ウェアラブル

「医療現場で進行しているデジタル技術活用について」前編

(出所:Shutterstock)

近年、様々な分野でデジタルトランスフォーメーションの進展が期待されていますが、医療現場において実際にどれだけデジタル化が進んでいるのでしょうか?そして、医療現場の方々は、デジタルヘルスに対してどのような考えを持っているのでしょうか?これらの質問を、現役臨床医の先生方に投げかけ、本音で意見交換を行っていただく、オンライン座談会を開催しました。今回の座談会の議題は、「医療現場で進行しているデジタル技術活用について」です。こちらの内容は、前編、中編、後編の3回に分けてお送りいたします。

参加医師:

ファシリテーター:LSMIP事務局スタッフが担当。

ファシリテーターこの度は、現役臨床医の皆様にデジタルヘルスに関しての現状や今後期待することなどご意見を伺いたく、このような会を開きました。臨床現場ではどんなことがデジタル化されているのか等、お伺いしたいと思います。どうぞお気軽に意見を交換いただきますよう、よろしくお願いいたします。

画像診断でのデジタル化と遠隔診断

ファシリテーターまず、医療現場において、最近は画像診断でのデジタル化がかなり進んでいると伺っていますが、実際はいかがでしょうか?

Dr. KOTATSU  お聞きになりたい画像診断のデジタル化というのはAI診断とかそのあたりでしょうか?そもそもMRIやCTは最初からデジタルですものね。X線もフィルムを使用している所はほぼ見ない気もします。線量もすくなくて済みそうですし、時間も早いし、データ検索も早いし。
大学病院にいるときに かかりつけ医院のレントゲンとか画像データを一括ネットワークで管理する「○○ネット」みたいなネットワークでいわゆる画像データをクラウド上で管理して、そのネットワークに入っている大学はもとより医院は見ることができる、みたいなものはありましたね。各病院にそのネットワーク専用でロックされたiPadも用意していました。

DIO       画像診断でのデジタル化というと非医療従事者の視点ではいわゆるAI診断みたいな所だと思われますが、実際は遠隔画像診断とかオンライン診療するとかしないとか、そのレベルなのでその辺乖離は大きそうですね…

ドクター心拍   遠隔での画像診断というのは複数の病院で経験しています。例えば、土日夜間などは遠隔で放射線科医が自宅で読影してくれています。

ファシリテーター自宅からですか?在宅勤務を可能にしていますね。コロナ禍の影響で進化したのでしょうか?

ドクター心拍   おそらく自宅からだと思います。一応コロナ禍以前からやっていたようです。それ以外にも夜間にスマホを通して脳MRIを送って脳外科に24時間画像コンサルトが可能な病院もありました。セキュリティをどうしているのかはわかりませんが、、、。放射線科医師による遠隔読影は割と行われている印象ですね。

Dr. KOTATSU  情報漏洩の観点がすごく厳しそうですけど、暗号化とかのシステムがもう確立しているんでしょうか?

DIO       医療用の匿名性が保たれたメッセンジャーアプリのようなものがあり、それを使用している病院が普通だと思います。画像読影に関しては、2年くらい前に、AI方面の知り合いに聞いたところ、実際の実用化はまだまだかかるだろうとのことで、意外と難しいんだなと思った記憶があります。心電図の自動読影は既に実用レベルですかね? 

ドクター心拍   確かに自動解析は有能ですよね。

Dr. KOTATSU  AI画像診断については、知り合いの放射線科医もまだ難しいのでは、、、とのことでした。

ドクター心拍   研究はいろいろ行ってはいるけれど、実用という点では課題が多いイメージですね。

(出所:Shutterstock)

AI画像診断導入について、医療現場の観点から

ファシリテーターAI画像診断は、実用化には難しい点が多いでしょうか?

ドクター心拍   AIでの画像診断としては、まず得られた診断に対して誰が責任をとるかという問題があります。どんなに有用な診断技術をしても、100%はありえませんし、その技術をどのように用いるかという点が課題としてあげられますね。

DIO       そこは心電図と同様ではないでしょうか?オーダーした医師になるのではないかと思うのですが…。

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*今回の座談会は、コロナ禍という状況に配慮し、オンラインチャット形式にて、2021年11月に行ったものです。


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