2023/07/11

米国eHealthジャーナル第91号

Microsoft、音声分析ソフトウェアのメーカーのCanary Speechと提携

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メンタルヘルス分野で新規ソリューションの展開へ

人工知能(AI)基盤の音声分析ソフトウェアを提供するユタ州拠点のCanary Speech(以下、Canary)は5月24日、Microsoftと提携したことを明らかにした。Microsoft のAI技術を活用して、ヘルスケア向けにCanaryの機械学習スピーチモデルを強化する。そして、医療費の削減、メンタルヘルスに関するさまざまな課題への対処、早期介入の実現、遠隔患者モニタリング(RPM)ソリューションの規模拡大を目指すという。

Canaryは、個人の音声に不規則性が認められるどうかを判断する音声バイオマーカー技術を提供している。同社によると、この技術によって臨床検査前に症状が顕著になる前に、気分、ストレス、エネルギーレベルを検出することが可能となり、またテレヘルスや遠隔診療サービスを強化できる可能性もあるという。


出典:Canary

今回の提携により、CanaryのAPIプラットフォームは、Microsoftが提供するコラボレーションプラットフォームであるMicrosoft Teamsに統合された。CanaryはMicrosoftのヘルスケア向けクラウド製品であるMicrosoft Cloud for Healthcareの共同販売パートナーとなり、MicrosoftのAIを採用して音声解析技術を加速させる。また、クラウド・ソリューションとしてMicrosoft Azureを活用し、機械学習音声モデルを新たな顧客に提供するという。

Microsoftのグローバル最高医療責任者兼ヘルスケア担当副社長であるDavid Rhew博士は、「AIは、作業の自動化、非構造化データの構造化、患者の洞察の獲得、臨床医による患者の個別化ケアのサポートを通じて、医療サービスプロバイダーの能力向上に貢献している」と声明で述べた。

Microsoftは、AI技術でヘルスケア業界に「波風」を立てている。Microsoftは昨年、AIや音声認識ソフトを提供するNuance Communicationsを約160億ドルで買収した。また、ChatGPTのメーカーであるOpenAIと、その後継であるGPT-4に多額の投資を行っている。ChatGPTは、ジェネレーティブAI(生成系AI)とよばれる次世代のAIで、ユーザーの質問や発言に対して人間のようなテキストを生成することができる。

OpenAIは3月に最新版のGPT-4を公開した。同月にNuance Communicationsは、GPT-4を使用した新規の臨床ドキュメンテーション作成ツール「Dragon Ambient eXperience Express」を発表した。


出典:Nuance

(了)


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