2022/10/25

米国eHealthジャーナル第75号

Novo Nordisk、医薬品発見加速でMicrosoftと提携

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アテローム性動脈硬化症の開発にAIを活用

デンマーク拠点の製薬大手Novo NordiskMicrosoftは9月12日、ビッグデータと人工知能(AI)を活用した医薬品発見の加速を目的として戦略的提携契約を締結したと発表した。MicrosoftがAI技術や基盤モデルなどを提供し、Novo Nordiskのデータ科学者やその他専門家と協力して同社の研究開発活動を支援する。

基盤モデルとは、大量かつ多様なデータで訓練され、様々なアプリケーションの基盤となることが可能なる大規模なAIモデルのことで、2021年にスタンフォード大学のワーキンググループによって命名された。 基盤モデルは単体で従来のAIには解けなかった多様なタスクを解けることから、「AIにパラダイムシフトをもたらす」などとして研究者の間で注目を集めている。

複数年にわたる本提携では、プラットフォーム・アプローチを用いて、さまざまなタスクに利用可能なAIモデルを構築し、新たなプロジェクトの立ち上げやユースケースの開発に取り組む。AIモデルの最初の2つのユースケースはすでに決定しており、1件目では文献やパテント、科学報告書やフォーラムでの協議などのさまざまなソースから得られる情報を自動的に要約・分析し、新規の科学知見を得ることに注力する。また2件目では、脂肪やコレステロール、その他物質が動脈壁内外に蓄積することで生じる心血管疾患のアテローム性動脈硬化症を発症するリスクを予測する。

両社はアテローム性動脈硬化症の新規標的の特定やバイオマーカー開発にもAIを用いることを予定している。

Novo NordiskはAI創薬の分野では、英国企業のExscientiaに投資している。2020年5月には、持ち株会社のNovo HoldingsがシリーズC投資ラウンドを主導し、Exscientiaは6,000万ドルを調達した。Novo Holdingsはその後に実施された2021年4月のシリーズD投資ラウンドにも参加している。SoftBank Vision Fund 2が主導したシリーズD投資ラウンドでExscientia は2億2,500万ドルを調達した。

(了)


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