2023/07/11

米国eHealthジャーナル第91号

音声認識技術企業のVoiceitt、Ciscoと提携

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非定型的な発話を瞬時に翻訳してキャプション表示

イスラエル拠点の音声認識技術企業Voiceittは5月16日、デジタルコミュニケーション技術およびコンピュータネットワーク機器大手のCisco Systems(以下、Cisco)と提携したと発表した。

Voiceittは、非標準的な音声を持つ人々のために、不明瞭もしくは非定型的な発話を瞬時に翻訳するAIベースの音声認識アプリを提供している。今回の提携では、Ciscoのビデオ会議プラットフォーム「Webex by Cisco(以下、Webex)」にVoiceittの技術を組み込むことで、音声障害のある人々のバーチャル会議の参加をより容易にする。音声障害者の発話は、AIによってリアルタイムで翻訳され、画面上にキャプションが提示される仕組みだ。


出典:Voiceitt

Voiceittのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)は、WebexのApp Hubからダウンロードすることができる。この技術は、今年後半にWebexのプラットフォームに完全に組み込まれる予定だ。

「WebexミーティングにVoiceittの技術を統合することで、よりインクルーシブな職場環境を促進することができる。最先端の音声AIは、障害を持つ人々に力と機会を与えるものとなる」と、Voiceittの共同設立者で戦略パートナーシップ担当バイス・プレジデントのSara Smolley氏は述べた。

Voiceittは、Amazon Alexa Fundのポートフォリオ企業である。Amazon Alexa Fundは、スマート・エレクトロニクスやアンビエント・コンピューティング、人工知能(AI)、エンターテイメントへの投資に注力するAmazon傘下のベンチャー・キャピタル(VC)。Voiceittは2022年12月に完了した資金調達ラウンドで470万ドルを集めた。このラウンドにはCiscoも参加した。Voiceittはまた、2020年のシリーズA投資ラウンドでは1,000万ドルを調達している。

ハイテク大手のAmazon、Microsoft、Meta、Apple、Googleはいずれも音声認識技術に力を入れている。2022年10月、この5社は非営利のパートナーとともに、University of Illinois Urbana-Champaignと提携し、「Speech Accessibility Project」を通じて障害を持つ人々の「対話力」拡張に取り組むと発表した。このプロジェクトでは、多様な発話パターンをもつ人々の音声サンプルを収集し、それらを機械学習モデルの学習に役立てる。まずはアメリカ英語に焦点を当て、さまざまな音声パターンの識別を目指す。

(了)


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