2023/06/27

米国eHealthジャーナル第90号

FDA、Casanaの患者モニタリングデバイスを承認

Casana, 疾病管理・患者モニタリング, 行政・規制ニュース, ジャーナル第90号, 医療機器, 循環器科/心疾患

トイレの便座で患者のバイタルを監視

心血管疾患モニタリングを実行するセンサー内蔵の「スマート便座」を手掛けるCasana (以前の社名はHeart Health Intelligence)は5月1日、同社が開発したスマート便座の「Heart Seat」が、心拍数および酸素飽和度(SpO2)を測定する医療機器として 510(k)経路でFDAから承認を受けたと発表した。 Heart Seatの対象者は、体重が90~350ポンドの範囲にある22歳以上の成人。

American Heart Association(AHA)によると、65歳以上の高齢者の80%以上は2035年までに何らかの心血管疾患を発症すると見積もられている。Heart Seatは、ユーザーの生活習慣を何ら変えることなく、臨床グレードのデータをパッシブに収集することが可能な心血管疾患モニタリングシステムで、心血管疾患の症状悪化の早期検出を目的としている。


出典:Casana

バッテリー駆動式のHeart Seatは、再充電することなく数年稼働することが可能で、ユーザーのバイタル・データを医療サービスプロバイダーに送付する。ユーザーのデータが閾値を超えた場合には医療サービスプロバイダーに通知する仕組みだ。同社は、 2023年末までに最初の製品を市場に投入することを目標としている。

Casanaでは、適応拡大に向けて研究者と提携し、追加の検証試験を実施している。同社は2023年中に収縮期および拡張期血圧(BP)の測定を含む追加の適応症を申請する予定だという。

ニューヨーク州ロチェスターを拠点とするCasanaは、Rochester Institute of Technology(RIT)の研究から誕生したスタートアップ企業だ。スマート便座のアイデアは同大のポスドクだったNicholas Conn博士によるもので、Conn博士は2018年にRIT開催の「Tiger Tank Competition」で勝者に選出され、同社を設立した。Tiger Tank Competitionは、有望なビジネスアイデアを持つRITの学生にチャンスを与えるコンペティションで、勝者には賞金が授与される。

Casanaは、2021年2月に完了したシリーズA資金調達ラウンドで1,400万ドル、2022年1月に完了したシリーズB資金調達ラウンドで3,000万ドルを調達しており、これまでの総調達額は4,600万ドルに上る。

(了)


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