2023/05/09

米国eHealthジャーナル第87号

スマート靴下のOwlet、2022年第4四半期および通年の決算を発表

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510(k)経路でのFDA承認獲得で黒字化を目指す

スマート靴下を利用した赤ちゃんモニタリングシステムを販売するユタ州リーハイ拠点のOwletは3月15日、2022年第4四半期および通年の決算を発表した。Owlet では、FDAに新たな承認申請を行うために2022年下半期には経費の削減に努め、この動きを黒字化へのステップにつなげようとしている。

Owletは、赤ちゃん向けのスマート靴下「Owlet Smart Sock」で知られる企業だ。睡眠中の赤ちゃんにOwletのスマート靴下を履かせておくと心拍数や血中酸素濃度などをモニタリングし、両親がスマホのアプリからデータを確認するのを可能にする。Owlet は2015年の発売から100万足以上のスマート靴下を販売してきた実績を持つが、2021年10月にFDAから警告状を受領したことを受け、翌11月に製品リコールを行っている。警告状は、Owletがスマート靴下を「診断ツール」として販売していることを問題としていた。診断ツールの販売には、510(k)申請経路によるFDA承認の獲得が必要となるが、Owletのスマート靴下は承認を取得していなかった。

Owletによると、2022年第4四半期の売上は約1,200万ドルで、純損失は1,950万ドルだった。通年では、売上が前年の7,580万ドルから6,920万ドルに減少し、純損失は前年の7,170万ドルから7,930万ドルに拡大した。Owletによると、年初に新製品を発売したことが大きな要因となり、通年の営業費用が前年の9,090万ドルから1億790万ドルに拡大した。 Owletは2022年1月に、赤ちゃんと両親のよりよい睡眠をサポートするモニタリングシステム「Owlet Dream Duo」を発売。その後3月には5歳未満もしくは体重55ポンド(約25キロ)までの小児のよりよい睡眠をサポートする最新のモニタリングシステム「Owlet Dream Sock Plus」を発売した。

「Owlet Dream Duo」は、赤ちゃんと両親がより質の高い、長い睡眠時間を得られるよう支援するシステムで、「Dream Sock」とよばれるスマート靴下、専用のコンパニオンアプリ「Dream App」、HDビデオカメラ、より良い睡眠を得るためのデジタル・コーチングプログラムで構成されている。赤ちゃんの睡眠中の様子を全体的に捉える1,080pのHDビデオと、バイタルサインを捉えるスマート靴下により、目覚め、心拍数、動きのスコアから赤ちゃんの睡眠の質を把握できるほか、寝室の温度や湿度、騒音レベルといった環境データも確認できる。こういったデータは、赤ちゃんの睡眠トレンドを把握して寝室環境の最適化を図るために活用することが出来る。


出典:Owlet

Owlet は2022年下半期に、マーケティング費用の削減、従業員の解雇、その他の経費削減を実行し、2023年以降の黒字化に向けて体制を整えたという。同社のCEO兼共同創設者であるKurt Workman氏は決算説明会において「2022年を通して、将来にわたって持続可能で収益性の高い成長を実現できるよう、Owletは多大な努力を重ねてきた。ブランドを再構築し、営業費用を見直し、健全なチャネルの再構築に注力するとともに、FDA承認の獲得に向けて画期的な進歩を遂げてきた」と述べた。同CEOによると、Owletは2023年上半期にもコスト削減を継続する見通しだ。2022年には227名だった同社の従業員数は2023年3月時点で100名を切っている。

Owletは2022年10月に、「BabySat」と呼ばれる処方箋赤ちゃんモニタリングシステムについて、510(k)経路でFDAに承認申請を行った。BabySatは、赤ちゃんの心拍数や血中酸素飽和度が所定の範囲から外れた場合に、両親に警告することを目的としている。さらに12月には、心拍数や酸素レベルについて通知を行う、処方箋を必要としない消費者向け製品についてもFDAに承認申請を行った。

(了)


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