2023/03/14

米国eHealthジャーナル第84号

FDA、RWE企業のAetionと癌分野で提携

ジャーナル第84号, 研究・調査, 行政・規制ニュース, 悪性新生物(癌), 患者データ・疾病リスク分析, 創薬, Aetion, 提携

新規RWDソースを活用した研究を促進

リアルワールド・データ(RWD)解析およびリアルワールド・エビデンス(RWE)の提供に特化するソフトウェア開発企業のAetionは1月24日、癌分野における新規RWDソースを活用した研究の促進を目的として、FDAのOncology Center of Excellence(以下、OCE)と5年間の研究提携を締結したと発表した。OCE は、2016年12月成立の連邦法「21世紀治癒法(21st Century Cures Act)」に基づき2017年1月に設立されたFDA内の組織で、癌治療薬の開発および承認審査の円滑化を目的に様々な取り組みを行っている。

出典:FDA

今回の提携では、RWD解析とRWE生成を迅速に実行するAetion独自のAetion Evidence Platform(以下AEP)を活用する。AEPは、ヘルスケアシステムで蓄積される日常的な臨床データと支払いデータから、治療の有効性、安全性および価値について、科学的に実証された透明性の高いエビデンスを迅速に生成するプラットフォーム。

AetionとOCEは、癌の予防、臨床ケア、診断、治療に関連する研究課題に取り組むため、AEPを活用して、目的に合致した新規RWDソースの特定、分析を行う。研究の対象には、リアルワールド・エンドポイントの検証、因果推論メソッドの評価、健康公平性の推進に向けた健康格差の測定と理解などが含まれる。研究は2027年まで継続され、その間に成果と知見が随時発表される予定。

AetionのCEOであるCarolyn Magill氏は、「社会的弱者や少数派集団の人々により良いサービスを提供するために、OCEとの提携を通じてRWE基盤の研究を実施できることを嬉しく思う。この共同研究は、どの治療法がどの患者に有効であるかを理解するというAetionのミッションをさらに前進させて、健康の公平性の実現に近づくことを可能にする」と述べた。

21世紀治癒法は、承認済み医薬品の新規適応での承認を支持するRWE、および医薬品の市販後試験の要件を満たす、あるいは要件を満たすのを助けるRWEを評価するためのフレームワークの構築をFDAに命じており、FDAはRWDやRWEの活用推進に本腰を入れている。Aetionとは、RWDとRWEを利用して無作為化対照試験(RCT)の再現が可能かどうかを検証する2019年開始のプロジェクト「RCTデュプリケート(RCT DUPLICATE)」で協働したほか、2020年5月には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の理解促進を目的としたRWDとRWEの活用で提携。さらに2021年10月に、COVID-19の治療介入に関する研究と、規制科学およびイノベーションの進展を目的にRWEを利用する提携契約を締結している。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2023 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事