2022/10/11

米国eHealthジャーナル第74号

NCI、癌ケアにおけるテレヘルス研究で4機関にアワード提供

悪性新生物(癌), 研究・調査, テレヘルス, ジャーナル第74号

社会学的因子の影響や遠隔モニタリング・システムを評価

国立衛生研究所(NIH)は8月18日、癌ケアにおいてテレヘルスの果たし得る役割を研究する4学術機関に対し、国立癌研究所(NCI)が合計2,300万ドルのアワードを提供すると発表した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大流行する中で、人との接触を抑えて感染拡大を防ぎ、同時に人々の健康維持を図るために有効な手法として、プライマリケア医と専門医の間でテレヘルスの活用が急速に進んだ。しかし、癌関連ケアに限れば、テレヘルスの最良の活用方法は何なのか、まだ理解が進んでいない。

アワードの提供を受けるのは、メモリアル・スローン・ケタリング癌センター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)、ノースウェスタン大学(Northwestern University)、ニューヨーク大学グロスマン医科大学(New York University Grossman School of Medicine)、ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の4機関。これら機関はそれぞれに新設する中核的研究センターを中心として、病院や癌センター、癌臨床医オフィス、プライマリケア医のオフィスなど、臨床現場において大規模試験を実施し、癌の予防やスクリーニング、診断や治療、癌克服後の経過観察に至る癌ケア全体においてテレヘルスの活用を研究する。

具体的な研究内容として、人種・民族、貧困レベル、居住地域を含む社会学的因子の差異がテレヘルスを介した癌ケアのデリバリーに与える影響、喫煙や運動不足といった癌リスク因子の低減におけるテレヘルスの貢献度の評価、コミュニケーション科学と行動経済学を活用した、肺癌スクリーニングにおける複数の意思共有テレヘルス・アプローチの評価・比較、ならびに前立腺癌あるいは乳癌の全身性治療を受ける患者に対するテレヘルス基盤の遠隔モニタリング・システムの評価などが挙げられている。

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出典:Shutterstock

中核的研究センターは、NCIのイニシアチブ、「Telehealth Research Centers of Excellence(以下TRACE)」の構成要素となる。アワードの期間は最大5年間。

TRACEイニシアチブは、癌撲滅を目指す連邦政府のイニシアチブ「Cancer Moonshot」と足並みを揃えた内容であり、NCIはこの取り組みについて、5~10年後の癌患者へのヘルスケア提供のあり方を変革するための道を開くものになると期待している。

(了)


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