2023/01/19
デジタルテクノロジーによって進化する歯科治療(第10回)
歯科系スタートアップ スクリエ社に聞く ―社会課題と提供サービスについて
臨床医, 歯科・口腔外科, テレヘルス, AI技術, 診断・検査・予測, 日本
Healthtech/SUM 2022ピッチコンテストから【前編】

京都大学内に本社を構えるスクリエ社
Healthtech/SUM 2022(Healthtech Summit 2022)が12月1、2日に日本橋三井ホールと日本橋ライフサイエンスハブ、さらにオンライン上で開催されました。Healthtech/SUMは、医療ヘルスケア領域のテクノロジーに関するビジネスの動向を紹介する、グローバルカンファレンスです。ヘルステックの最先端に位置する製薬企業からスタートアップまで幅広く取り上げ、国内外で活躍するキーパーソンのディスカッションやオンライン展示が行われました。産官学の壁を超えて医療インフラの流通やオンライン診療、医療DX、ヘルステック業界の資金調達などが議題に上がっています。
今年のテーマは「Connect into a Spiral 〜あなた中心に融合するテクノロジー〜」でした。PHR(Personal Health Record)やRWD(Real World Data)の利活用でAIがビッグデータを解析する時代に、いかに個人(あなた)のためのヘルステックが貢献できるのかが議論されました。また同カンファレンス内で開催された、スタートアップ企業を紹介するピッチコンテストでは、審査を勝ち抜いた8社がファイナリストとして、次世代サービスを披露しています。
その中の1社である株式会社スクリエ(以下、スクリエ社)は、京都大学に本社を構える歯科系のスタートアップ企業です。 スクリエ社の代表である歯科医師/デンタルデザイナーの岡本孝博先生にお話を伺いました。

(出所:株式会社スクリエ)
Q. Healthtech/SUM 2022では、ピッチコンテストに登壇されました。どのように感じられていますか。
岡本先生: 予防領域への関心は日本では低く、誰もに予防を自分のこととして考える機会を持っていただくため、今後もHealthtech/SUM 2022のような取り組みで継続して取り上げられることが大切と考えています。ピッチコンテストで読者投票から選出していただいたことに意味を感じております。
Q. 御社の事業について教えてください。
岡本先生: ユーザーが自分で口腔内の写真をスマートフォンで撮影できる「HAKKENミラー」のほか、複数の特許を取得しています。これらの特許を活かし、歯科・口腔領域のDXに資するハードウェア・ソフトウェ アを提供していきたいと考えております。
Q. ビジネスモデルとしてどのような形を考えていらっしゃいますか?
岡本先生: HAKKENについては、以下3つのビジネスモデルを考えています。
1)HAKKENミラーの販売
2)患者向けオンライン歯科サービスの提供
3)歯科医院向け画像管理システムの提供
Q. ターゲット層はどのように設定していますか?
岡本先生: 患者向けオンライン歯科サービスとして、忙しいビジネスパーソンや妊婦の方、歯医者嫌いの子供さんなど、歯科医院に行き辛い方、かつスマホを使いこなし新しいガジェットにも抵抗の少ない方を初期ターゲット層としています。無歯科医師地区や介護分野のニーズも高いでしょう。また、酸取扱業者の歯科特殊健診のオンライン化を目指し、実証実験を予定しています。歯科医院向け画像システムの提供としては、口腔内撮影頻度の多い矯正歯科がターゲット層です。
(出所:株式会社SQRIE)
Q. 歯科医院ではレントゲンなどの検査を行いますが、御社のサービスではどのようにされていますか?
岡本先生: レントゲンなしでわかる範囲でのチェックを行います。問診や口腔内の画像からレントゲンやその他検査が必要と判断した場合は、歯科医院の受診を促します。
Q. Healthtech/SUM 2022のほか最近、主要紙やTV放送のキー局、さまざまな媒体で御社が取り上げられています。ビジネス界で注目される理由をとどのように考えられていますか?
岡本先生:政府が国民皆歯科健診を検討し始め、歯科への注目が高まっています。 歯科は口の中が見えないと何も言えないので、 コロナ禍でもオンライン化が進んでいません。そのような中、HAKKENミラーによる歯科のオンライン化推進が期待されているのだと思います。 また、国民皆歯科健診に向けて歯科人材不足が懸念されていますが、当社が開発するオンラインによる歯科医師の新しい働き方や画像歯科健診AIが人材不足解消に寄与する可能性もあります。
(次回へ続く)
【出典】
- 株式会社スクリエ ウェブサイト https://sqrie.jp/
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