2022/12/27

米国eHealthジャーナル第79号

Verily、2型糖尿病管理アプリの 研究成果を報告

デジタルセラピューティクス, ジャーナル第79号, 糖尿病, 疾病管理・患者モニタリング, Verily, 研究・調査

重篤患者で特に大きな数値の改善を達成

Alphabet子会社のVerilyは11月6日、バーチャル慢性疾患ケア・プラットフォームの「Onduo by Verily」について、2型糖尿病患者に対する有効性を検証した研究結果を報告した。この研究結果は、米国心臓協会(AHA)会議の科学セッションでも発表された。

Onduo by Verilyでは、慢性疾患向けデジタルソリューション提供企業のOnduoが専門家機関のネットワークと協力し、行動様式変更を支援するコーチングや専門家によるテレヘルス診察など、慢性疾患患者向けに個別化されたケアをモバイルアプリ経由で提供する。Onduo by Verilyの利用は、雇用主提供保険を含む一部の民間健康保険プランでカバーされている。

この研究は、雇用主提供保険を通じてOnduo by Verilyの2型糖尿病管理プログラムを利用した患者の1年目の変化を第三者機関が評価することを目的とするもので、Quest Diagnosticsが実施した。

患者は、Onduo以外のデジタルヘルス企業が提供するウェルネス・プログラムに雇用主提供保険を介して参加した後に、2020年12月から2021年9月の間にOnduo by Verilyを利用した。研究では、患者の2019年から3年間の年次スクリーニング検査のデータを基に、Onduo by Verilyによる介入の前後でヘモグロビンA1c(HbA1c)値、空腹時血糖値(FG)、HDLおよびLDLコレステロール値などがどのように変化したかを比較した。Onduoが提供する血糖測定器(BGM)、健康関連コーチング、持続的血糖値モニタリング(CGM)、バーチャル診療の各ツールの利用の有無とデータの変化も評価した。


出典:Onduo

その結果、参加者578名のうち、84%がコーチング、69%がBGM、13%がバーチャル診療、10%がCGMを利用していた。参加者のHbA1c値、FG、HDL、LDLは、いずれもOnduo by Verilyの介入から1年以内に顕著に改善した。特にベースラインのHbA1c値が9%以上、FGが126mg/dL以上の参加者で改善効果が大きかった。また、CGMあるいはバーチャル診療を利用した81名において、HbA1c値の改善幅が非利用者と比べて大きかった(図参照)。

Onduoは、フランスの製薬大手SanofiとVerily が2016年に立ち上げたジョイント・ベンチャーとしてスタートし、当初は、糖尿病患者のための疾病管理と、糖尿病性足部潰瘍および壊疽の予防を目的としたデジタル・ソリューションに注力していた。しかしSanofiは2019年12月に 、より利益率の高い免疫疾患およびワクチン事業にフォーカスするため、糖尿病および心血管疾患分野の研究開発(R&D)から撤退することを決定し、Onduoの経営からも退くことを明らかにした。Onduoは現在はVerilyの子会社として運営されており、Sanofiは株主(投資家)としてのみOnduoに関与している。Onduoは、糖尿病に加えて、高血圧症、体重管理/糖尿病予防、メンタルヘルスを対象としたデジタル・セラピューティクス(DTx)を提供している。

(了)


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