2022/10/11

米国eHealthジャーナル第74号

Digital Diagnostics、シリーズB投資ラウンドで7,500万ドルを調達

Digital Diagnostics (IDx), 皮膚科/皮膚疾患, 糖尿病性網膜症, 診断・検査・予測, 画像技術, 医療機器, ジャーナル第74号, AI技術, VC投資・M&A・決算

AI製品パイプラインの拡充を目指す

人工知能(AI)基盤の診断技術開発に注力するDigital Diagnosticsは8月23日、 KKRが主導したシリーズB投資ラウンドで7,500万ドルを調達したと発表した。KKR は、プライベート・エクイティ、エネルギー、インフラ、不動産、クレジット、ヘッジファンドなど複数のアセット・ クラスを手掛ける世界有数の投資会社。ほかにも、Cedar Pine、Kinderhook、8VC、Optum Ventures、OSF Ventures、Gundersen Health System、 Edward-Elmhurst Health Venture Capital、University of Iowaがこの投資ラウンドに参加した。Digital Diagnosticsは、2018年9月のシリーズA投資ラウンドで3,300万ドルを調達しており、今回のシリーズBを含めこれまでに1億3,000万ドル超を調達している。

Digital Diagnosticsのかつての社名はIDx。IDx は、AI技術を用いた自律型スクリーニング画像診断システム「IDx-DR」の開発で知られる企業だ。IDx-DR は、AI基盤のアルゴリズムを利用する糖尿病性網膜症の自動検出システムで、通常は眼科疾患ケアに関与しないプライマリケア医による糖尿病性網膜症の発見補助を目的として、2018年にデノボ(de novo)申請経路でFDA承認を受けた。デノボ申請経路は、安全性リスクが低~中程度で、実質的に同等な製品が存在しない革新的医療機器を対象とする承認申請経路。IDx-DRはFDAから画期的医療機器指定を受けており、AI基盤の自律型スクリーニング画像診断システムとして初めてFDA承認を獲得したソフトウェア製品である。


出典:Digital Diagnostics

IDx-DR では、医師が専用の眼底カメラで撮影した患者の網膜のデジタル画像をクラウドサーバにアップロードし、それをAIアルゴリズムによって解析する。軽度よりも進行した糖尿病性網膜症の有無を自動的に診断し、眼科医の診断が必要か、それとも1年間は様子見でも問題ないかどうかの判断を医師に提示する。糖尿病性網膜症は糖尿病患者の最も一般的な失明原因であり、失明を防ぐための早期発見と治療が糖尿病管理において重要となる。しかし、糖尿病患者の約半数が眼科医による年1回の網膜症検査を受けていない。

Digital Diagnosticsは今回のシリーズB投資ラウンドで獲得した資金を、製品ロードマップの前進とAI製品パイプラインの拡充、既存製品の流通拡大、および販促活動に利用するという。

Digital Diagnosticsは2020年8月、皮膚科疾患分野への参入を目的として、同分野に特化するデジタルヘルス企業の3Derm Systems(以下、3Derm)を買収した。 Digital Diagnosticsは現在、3Dermの買収で獲得した2つの皮膚科デジタル製品を提供している。「DermTriage」は、患者の皮膚症状の画像を遠隔にいる皮膚科医に提出し、皮膚科医の助言に基づく患者トリアージを医師が実行するのを支援する医療サービスプロバイダー用のツール。もう1つの「DermSpot」は、特定の皮膚癌の検出を目的にAIを活用するもの。DermSpotは、FDAの承認は獲得しておらず、研究開発の目的でのみ使用できる 。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2022 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事