2022/01/28

ヘルスケアの現場から考えるデジタルヘルス(第3回)

スマホで医用画像を共有できる医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」

診断・検査・予測, 日本, AI技術, 臨床医

日本のベンチャー企業・アルム社が開発した保険適応アプリ

(出所:Shutterstock)

半身の麻痺や呂律障害など、脳梗塞を疑う症状を持つ患者さんが病院へ搬送されてくると、救急室に緊張が走る。脳梗塞による後遺症を極力減らすため、特に迅速に対応する必要があるためだ。日本脳卒中学会は、脳梗塞の発症から4.5時間以内の血栓溶解薬‣組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)の投与や、6時間以内の血栓除去デバイスによる血管内治療などを推奨している。患者さんが病院に到着した時点で、既に発症から1-2時間経過していることもあるため、病院到着後は時間との戦いになる。しかし、専門医は24時間病院に常駐しているわけではない。休日や夜間は非専門医が初期対応することがほとんどで、必要に応じて院外にいる専門医を呼び出すことになる。

●リアルタイムに画像共有が可能な医療関係者間コミュニケーションアプリ 「Join」
「専門医が院内にいないけれど、すぐに指示がほしい。」 そんな状況で活躍するのが、アルム社が開発した医療関係者間コミュニケーションアプリ 「Join」だ。「Join」は、東京慈恵会医科大学の脳神経外科グループの協力の下、脳血管疾患の急性期医療を変える目的で開発された。このアプリは院内システムと連携することでCTやMRIなどの医用画像を共有することが可能で、チャットや音声/ビデオ通話などのコミュニケーション機能を備えている。データのやりとりはクラウド(Join Cloud)を利用しており、アプリはiOS、Androidの両方に対応している。また、パソコンのWeb閲覧用ブラウザ(Google Chrome、Firefoxの最新版に対応)でも利用が可能だ。

(出所:株式会社アルム)

●万全のセキュリティ対策
医療情報を送受信する際に問題となるのが、個人情報の漏洩を防ぐためのセキュリティ対策だ。「Join」は、HIPAA、EU GDPR、ISO27001、3省2ガイドラインなどの個人情報に関する規定に準拠しており、患者情報は匿名化された上で、暗号化通信で共有されるなど、セキュリティ対策も行っている。また、「汎用画像診断装置用プログラム」として中央社会保険医療協議会(中医協)から承認されており、2016年から保険診療での使用が可能となっている。

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