2019/07/09

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Journey Meditation、シードラウンドにおいて240万ドルを調達

ウェルネス・運動療法, VC投資・M&A・決算

ヨガクラスのライブ配信

一部報道は5月7日、ニューヨーク拠点のスタートアップ企業、Journey Meditationがシード投資ラウンドにおいて240万ドルを調達したと報じた。

同投資ラウンドはベンチャー・キャピタル(VC)企業のCanaanが主導し、Brooklyn Bridge Ventures、Betaworks、BDMI、Nelstone Ventures、New York Venture Partnersほか複数のエンジェル投資家が参加した。Journey Meditationは同日、瞑想クラスのライブストリーミングを提供する新規プラットフォームの「Journey LIVE」を立ち上げた。

ユーザーは最初の7日間は無料でコンテンツを試すことができる。気に入れば1カ月19.95ドルの利用料を支払う仕組みだ。1年契約の場合には月当たり14.95ドルとなる。また、399.95ドルを支払って生涯メンバーシップを購入するというオプションもある。Journey Meditationのコンテンツはライブ配信であり、それが他のマインドフルネスアプリとの差別化要因となっている。 マインドフルネスは、投資マネーが流入するデジタルヘルス領域の1つだ。同市場においては、CalmとHeadspaceの2社が圧倒的なプレゼンスを誇る。いずれの企業もグローバル展開しており、日本のユーザーも、Apple StoreもしくはGoogle Playでアプリを無料ダウンロードできる。ただし、コンテンツは英語のみ。無償のセッションを利用して、気に入ればアプリ内課金で他のコンテンツを利用できる仕組みとなっている。2012年設立のCalmは2019年2月、TPG Growth が主導するシリーズB投資ラウンドで8,800万ドルを調達したと発表した。

同投資ラウンドは、シリーズAラウンドで2,700万ドルを調達してから1年もたたないうちに行われ、Calmは合計調達額1億1,500万ドルを達成、ユニコーン企業(創業10年以内、評価額10億ドル以上、未上場、テクノロジー企業の4条件を兼ね備えた企業)の仲間入りを果たした。

Calmのサブスクリプションサービスは年間プランで毎月5ドルの料金設定で、不安やうつ、不眠症などを解消するための合計100時間以上におよぶ様々な音声プログラムが用意されている。Calmによると、グローバル規模におけるアプリのダウンロード件数は4000万件で、うち100万名超が有料ユーザーだ(2019年2月時点)。同社は2018年に収入が4倍となり、このままいけば年間1億5,000万ドルの収入になると報告している。

3,100万人のユーザーを擁するHeadspaceは、これまでに7,500万ドルを調達している。同社によると、有料ユーザーは100万人超で、年間売上は1億ドル。Headspaceは2018年9月、デジタル・アシスタント市場の黎明期から活躍していたAlpine.AI(元VoiceLabs)を買収したと発表した。

現在、Headspaceの主要な瞑想セッションでは、音声ガイドとして、同社の共同創設者で元チベット仏教僧であるAndy Puddicombe氏の声を利用している。同社では、本買収によりアプリの音声操作の高度化を狙っている。「瞑想アプリは複数存在するが、自分が今どの段階にあるかを的確な音声ガイドで教えてくれるものができれば差別化を図れる」と、Headspaceの新CTOであるPaddy Hannon氏は話す。VoiceLabsは長年にわたり、音声をベースにしたさまざまな製品を開発してきた。

Alpine.AIへと社名を変更した後には、小売業者のカタログを読み込んで、AIで顧客の製品に関する質問に答える小売業者向けのボイス・アシスタントを開発した。Headspaceは、Alpine.AIの機械学習技術を自分たちの分野に応用する可能性に期待を寄せている。Headspaceは大企業とその従業員に瞑想エクササイズを提供するB2Bビジネスにも力を入れており、250社以上の企業が契約している。

(了)


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