2019/10/08

米国eHealthジャーナル 第5号

間質液を収集するスキン・パッチの開発

疾病管理・患者モニタリング, 医療機器, 研究・調査, 診断・検査・予測, ジャーナル第05号

 
 

NIBIBのグラント供与を受けた新研究

国立衛生研究所(NIH)傘下の
NIBIB(National Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering)は8月19日、Georgia Institute of TechnologyとWashington Universityの研究班が、間質液(ISF)を収集するスキン・パッチを開発したと発表した。組織液とも呼ばれるISFは、血管外の細胞間のすきまを満たし、組織の新陳代謝、栄養物の供給、排泄物の運搬などの役目をする液体成分。毛細血管からの漏出によって生じ、一部はリンパ管に入ってリンパ液となる。

 

(出典)NIH


診断テストの多くは血液をベースとし、血液中の特定のバイオマーカーを疾病の「サイン」とみなす。ISFには血液中のバイオマーカーのほとんどが含まれるが、凝固因子や細胞といった血液分析における複雑化要因を含まないという利点がある。

NIBIBのグラントを受けて実施された研究では、マイクロニードル付きのパッチが痛みを感じさせることなく収集したISFを、表面増強ラマン散乱 (SERS)と呼ばれる手法を用いて分析した。結果、研究班はISFに含まれる任意のバイオマーカーを捕捉することに成功した。同研究結果は、5月9日付でACS Sensorsに掲載された。

研究班は、ISFパッチは将来、診断テストを簡素化し、継続的なバイオマーカー・モニタリングを可能にすると考えている。NIBIBのポイント・オブ・ケア技術およびコネクテッド・ヘルス関連プログラム担当ディレクターのTiffani Lash博士は、「ISFパッチは、従来のテスト方法の再考が、ヘルスケアの進展をもたらす新技術に結び付いた格好の例だ」と話す。

研究班は今後、より選択的にISF中の分子を捕捉する方法を採用すると述べ、将来的には、同じパッチで複数のバイオマーカーを捕捉する方法を開発することに意欲をみせた。

 

(了)


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