2023/07/25

米国eHealthジャーナル第92号

Emory HealthcareとDispatchHealthが提携

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フォローアップや高度な急性期医療を在宅で

コロラド州デンバー拠点の在宅ケアプロバイダーDispatchHealthは6月15日、ジョージア州アトランタに拠点を置くヘルスケアシステムEmory Healthcareと提携したことを明らかにした。これにより、Emory Healthcareを受診する患者には、フォローアップケアや高度な急性期医療を在宅で受けられる選択肢がもたらされることとなる。Emory HealthcareはEmory Universityの傘下組織で、ジョージア州最大のヘルスシステムである。

DispatchHealthは、患者やその家族が電話もしくは同社のアプリやウェブサイトを通じて、緊急往診を予約するのを可能にする。DispatchHealthは通常、フィジシャン・アシスタントまたはナース・プラクティショナー1名と、DispatchHealthの医療技術者1名からなる2名のチームを、患者による予約完了から2時間以内に患者宅に到着するよう手配する。


出典:DispatchHealth

今回の提携により、Emory HealthcareはDispatchHealthの「Acute Care」、「Bridge Care」、「ED-to-Home」の各プログラムを導入する。Acute Careは、ウイルス感染症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、うっ血性心不全、尿路感染症など、命に別状がない病気や怪我をした患者を対象とするもので、これらの患者がDispatchHealthの医療チームを利用して在宅治療を受けることを可能にする。

Bridge Careは、急性期ケアを受けた病院からの退院後、48時間以内の再入院リスクが高い患者を対象として在宅ケアを提供する。ED-to-homeは、救急医療室(ED)でのケアを受けた後にフォローアップ評価やケアを必要とする退院後72時間以内の患者を対象とする。

DispatchHealthは2022年11月に、 Optum Ventures が主導した資金調達ラウンドで3億3,000万ドルを集め、これまでの調達総額が7億ドル超となった。Optum Venturesは、米民間保険最大手 UnitedHealth Groupのベンチャー・キャピタル(VC)部門。DispatchHealthは2021年に完了したシリーズD資金調達ラウンドでは2億ドルを獲得している。

DispatchHealthは過去1年で数多くの組織と提携契約を結び、全米の各地で在宅ケアを展開している。2022年12月には、Blue Shield of Californiaと提携し、南カリフォルニアの同プラン加入者にDispatchHealthが提供する在宅ケアへのアクセスがもたらされた。また、同月にオクラホマ州のSaint Francis Health Systemとも提携し、同州タルサ地区での在宅ケアサービス提供が開始された。 ウィスコンシン州の大規模医療機関であるMarshfield Clinic Health Systemとは2022年7月に提携した。

DispatchHealthは2023年5月には、カリフォルニアを拠点とするバーチャルケア企業Included Healthと提携した。Included Healthは、テレヘルス大手のDoctor On Demandと、自家保険(Self-Insured)を提供する雇用主をターゲットとしたB to Bサービスを展開するヘルスケア・ナビゲーションプラットフォーム企業、Grand Rounds Healthの合併によって2020年に誕生した企業を起源とする。合併完了後間もない2021年5月にLGBTQ+コミュニティ向けのケアナビゲーション・プラットフォーム企業を買収し、その社名を踏襲してIncluded Healthとなり、従業員への保険ナビゲーションサービスのほか、バーチャルプライマリケア、ビヘイビオラルヘルス、スペシャリティケア、24時間年中無休で受診が可能なオンラインアージェントケアなどを提供している。

(了)


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