2023/07/25

米国eHealthジャーナル第92号

Simple HealthKitとWalmartが提携

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フォローアップケアまでをカバーする在宅検査キットを提供

カリフォルニア州フリーモント拠点の診断スタートアップ企業Simple HealthKitは6月13日、 小売大手のWalmartと提携したと発表した。糖尿病、性的健康、呼吸器系の症状を検知する家庭用の診断テストキットを、同小売チェーンのウェブサイトWalmart.comを通じて顧客に提供する。

Simple HeathKitの性的健康のテストキットは、淋病、クラミジア、トリコモナスを検出できる。また、呼吸器系のテストでは、インフルエンザや呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を検出することができる。

出典:Simple HealthKit

Simple HealthKitは、メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)管轄の「CLIA認可」ラボを擁し、検査、フォローアップケア、治療までを結ぶエンドツーエンドのヘルスケアインフラを構築している。消費者は、Walmart.comを通じて、医師の監視のもと検査キットを注文し、自宅で検査を実施する。サンプルをSimple HealthKitのラボに送ると、24時間以内に結果を受け取ることができる仕組みだ。検査結果に異常がある場合は、ケアプロバイダーに接続され、無料でフォローアップケアを受けることができるという。

Walmartのヘルスマーチャンダイジング担当バイスプレジデントのStaci Cochran氏は声明で、「Simple HealthKitとの提携により、Walmartがモットーとする“毎日低価格(Everyday Low Price)”で自身の健康を評価する便利な方法を消費者に提供できることをうれしく思う」と述べた。

Walmartは、米国の他の小売大手や技術大手と同様に、ヘルスケア分野でのプレゼンス拡大を目指す企業の1つだ。30日分のジェネリック処方箋医薬品を4ドルで販売するサービスを2006年9月に開始し、対象医薬品の拡大を進めてきた。2009年にはメールオーダー薬局事業にも参入し、店頭価格で医薬品をオンライン購入できるようにした。また同社は、主にプライマリーケア・サービスを提供する店舗内もしくは店舗隣接型クリニックのWalmart Healthを2019年9月にジョージア州ダラスでオープンし、現在は同州とイリノイ州、アーカンソー州、フロリダ州で展開する。以前から手掛けていた店舗内クリニックのWalmart Care Clinicとの違いは、眼科(視力矯正)や歯科診療、レントゲン検査、聴力検査、フィットネスクラスなどを含む、より包括的なサービスを提供することだ。Walmartは2021年5月にはテレヘルス・プロバイダーのMeMDを買収し、バーチャル診療の提供も可能となった。現在はWalmart Health Virtual Careのブランドでプライマリーケア、アージェントケア、精神科ケアの領域でバーチャル診療を行っている。

ほかにもWalmartは2020年6月に慢性疾患患者向けの疾病管理アプリを手掛けるデジタルヘルス企業のCareZoneを買収し、利便性に優れた疾病管理プラットフォームを取得している。CareZoneのモバイルアプリは、複数の医薬品を服用する患者向けの製品だ。患者もしくは家族がCareZoneのモバイルアプリを使って医薬品のボトルをスキャンすると、医薬品リストが自動で作成され、ケアチームと共有される。アプリは服薬リマインダーとしても機能する。また、保険プランのメンバーカードをスキャンすることで、カバレッジの内容を知ることが出来る。様々な医療関連ドキュメントをプラットフォーム上で一元管理し、特定のメンバー間で安全に共有することが可能だ。

(了)


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