2019/08/27

米国eHealthジャーナル 第2号

Wake Forest Baptist Health、NICからグラントを受領

ジャーナル第02号, 診断・検査・予測, 行政・規制ニュース

 
 

待ち時間を利用して検査予約を促すiPadアプリ

ノースカロライナ州の総合医療センターである
Wake Forest Baptist Healthは7月1日、同センターの医師らが開発したiPadアプリの検証に向け、国立衛生研究所(NIH)傘下のNational Cancer Institute(NCI)から160万ドルのグラントを獲得したと発表した。「mPATH-CRC」と呼ばれるアプリは、プライマリケア医による定期健診を受けるために待合室で待機中の患者が、待ち時間を利用して大腸がんスクリーニング検査の予約を行うのを可能にするもので、患者はフォローアップとして、検査を受けるよう促す電子メッセージを受領する。以前に実施されたmPATH-CRCの無作為化試験では、mPATH-CRCが、患者の大腸がんスクリーニング検査完了率を倍増させることが示唆されており、今回NCIのグラントを利用して、ノースカロライナ州とケンタッキー州を拠点とする28カ所のプライマリケア・クリニックにおいてmPATH-CRCを導入し、さらにこれを検証する。

大腸がんは、スクリーニング検査を実施することで早期発見が可能であり、がんを理由とした死亡率を引き下げることが可能だ。しかし、大腸がんは米国で第二位の死亡原因であるにも関わらず、毎年、スクリーニング検査を受けるべき人口層の3分の1は検査を実施していない。「いくつかの障壁があって、大腸がんスクリーニング検査の完了率は低い。検査に対する抵抗感や検査の重要性に対する理解の低さがある」とWake Forest Baptist Healthの医師は話す。

450名の被験者が参加したmPATH-CRCの無作為化試験では、223名をmPATH-CRC群に、残りをmPATH-CRCへのアクセスがない対照群に割り付け、大腸がんスクリーニング検査の完了率を比較した。mPATH-CRC群の患者は、大腸がんスクリーニング検査を受ける意志決定を支援する8.6分のコンテンツを視聴し、最も頻繁に実施される大腸がんスクリーニング検査である便潜血検査および大腸内視鏡検査についての情報を得た。一方の対照群はダイエットと運動に関する4.3分のコンテンツを視聴した。

結果、24週以内の大腸がんスクリーニング検査完了率は、mPATH-CRC群で30%、対照群で15%だった。mPATH-CRC群の53%は大腸がんスクリーニング検査の予約を行ったが、その約半分は検査を完了しなかった。同研究結果はAnnals of Internal Medicine 誌の2018年4月号に掲載された。

 

(了)


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