2022/12/13

米国eHealthジャーナル第78号

Sinaptica Therapeutics、FDAから画期的医療機器指定を取得

認知症, ジャーナル第78号, Sinaptica, 行政・規制ニュース, 医療機器

アルツハイマー型認知症患者の認知・機能低下の治療を適応とする電磁波療法

神経変性疾患を適応症とする新クラスの個別化電磁波療法の開発に特化するSinaptica Therapeutics(以下、Sinaptica)は10月19日、アルツハイマー型認知症(AD)患者の認知および機能低下の治療を適応に開発中の医療機器「SinaptiStim-AD」について、FDAから画期的医療機器指定を取得したと発表した。SinaptiStim-ADは、電磁波による神経刺激と脳波モニタリング技術を組み合わせた新規のシステムで、人工知能(AI)基盤の個別化エンジンを搭載する。軽度から中等度のAD患者を対象としたSinaptiStim-ADのフェーズII臨床試験の結果が、画期的医療機器指定を受ける根拠となった。

SinapticaのプレジデントRich Macary氏は同指定について、「SinaptiStim-ADシステムのFDA承認に向けた規制上の道筋を確立するものであり、重要なマイルストーンだ。FDAとの協力の下、安全で効果的、かつ非侵襲的で個別化された新規の電磁波療法を開発することにより、AD治療における重大なアンメットニーズに応えていきたいと考えている」と述べた。SinapticaではSinaptiStim-ADシステムのピボタル臨床試験を2023年に開始する計画だ。電磁波治療は、脳の標的領域におけるシナプス可塑性やネットワーク結合の主要なメカニズムを調節することが可能だ。

出典:Sinaptica

Sinaptica以外にもいくつかの企業が、脳や脊髄、末梢神経系の特定部分を意図的に調節する神経刺激を介して、さまざまな症状の治療を目指している。

自律神経系に特化したカリフォルニア州パルアルト拠点の医療機器企業、DyAnsysは9月22日、同社の経皮的電気神経刺激装置(PENS)システムである「Primary Relief」が心臓手術後の術後疼痛治療を適応としてFDAの承認を受けたと発表した。DyAnsysは患者のオピオイド使用量の減少を目的とした医療機器の開発に注力しており、この承認はDyAnsysが取得した15番目の510(k)承認となった。 Primary Reliefは、帝王切開後の術後疼痛治療のための使用についてもFDAの承認を受けている。


出典:DyAnsys

バイオエレクトロニクス(生体電子工学)医療に注力するカリフォルニア州マウンテンビュー拠点のNeuroPaceは、神経障害を治療するための埋め込み型デバイスを開発している。同社は、2013年11月に市販前承認(PMA)申請経路でFDA承認を受けた、18歳以上のてんかん患者に対するインプラント型神経刺激デバイス「RNS System」を持つ。 NeuroPace は2021年8月にNasdaq株式市場への上場を果たしている。


出典:NeuroPace

(了)


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