2022/11/22

米国eHealthジャーナル第77号

パンデミックの鎮静化後もテレヘルスの人気は継続

テレヘルス, ジャーナル第77号, 研究・調査

利便性、迅速なケア、健康情報へのアクセスがポイント

ミシガン州拠点の市場調査会社J.D. Powerは9月29日、テレヘルスの満足度に関する調査研究「J.D. Power U.S. Telehealth Satisfaction Study」の結果を発表した。この調査が行われるのは本年で4回目となる。それによると、日常的に利用するさまざまな診療サービスについて、対面診療よりも遠隔医療を好む消費者が大幅に増加していることがわかった。

この調査では、回答者の67%が過去1年間にテレヘルスを利用していたことが明らかになった。パンデミック以前の2019年には、この値は37%だった。過去1年間にテレヘルスを利用した人のうち、80%が処方箋のリフィルに、72%が医薬品の選択肢の検討に、71%が検査結果を話し合うために、57%がメンタルヘルスの定期診察を目的として、対面診療よりもテレヘルスを利用することを好むと述べた。さらに、テレヘルス利用者の94%が、将来の受診の際にはテレヘルスを「必ず利用する」または「おそらく利用する」と回答した。

テレヘルスを利用する理由の上位は、利便性(61%)、迅速にケアを受けられること(49%)、健康情報へのアクセスのしやすさ(28%)だった。

J.D. Powerのグローバルヘルスケア・インテリジェンス担当マネージングディレクターであるChristopher Lis氏は、「テレヘルスとデジタル技術は、患者がケアを受ける方法を変えつつある。テレヘルスは、アクセス、利便性、ケアの連携と継続性を高め、アウトカムを改善し、特にサービスが行き届いていない地域における医療提供体制のギャップを埋める可能性を持っている。テクノロジーの導入と消費者の需要が増え続ける中、どのサービスがうまく機能しており、どの分野で改善が必要かを評価し続けることが重要だ」と声明で述べた。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時には、、社会的距離を保ちながら医療サービスを受けることを可能にする方法として、テレヘルスの利用が急増した。パンデミックが沈静化した現在も、パンデミック以前と比較するとテレヘルスは活発に利用され続けている。

いくつかの研究ではテレヘルス利用が医師に与えるデメリットも示されている。7月にJMIR Medical Informaticsに発表された研究「The Impact of Telemedicine on Physicians’ After-hours Electronic Health Record “Work Outside Work” During the COVID-19 Pandemic: Retrospective Cohort Study」は、テレヘルスが「Work outside work(WOW)」とも呼ばれる医師の残業時間を増加させる可能性を示唆した。同研究によると、電子医療記録(EHR)上で行う医師の残業量は、テレヘルス占有率(遠隔医療によって提供されるケアの提供ケア全体に占める割合)の大きい医師ほど「有意に」増加する。

出典:Shutterstock

一方で、約400名の医師を対象にWheel Healthが行った調査によると、医師の多く(64%)は、バーチャルのみ、あるいはハイブリッド設定で患者にケアを提供することが、自分のライフスタイルに最も適していると述べている。

(了)


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