2022/11/22

米国eHealthジャーナル第77号

CDC、成人のテレヘルス利用に関する調査報告書を発表

テレヘルス, ジャーナル第77号, 研究・調査

収入、教育、地域、民族ごとに利用率の傾向を調査

米国疾病予防管理センター(CDC)が10月12日に発表した米国の成人のテレヘルス利用に関する調査報告書、「Telemedicine Use Among Adults: United States, 2021」によると、成人の37%が過去12カ月以内にテレヘルスを利用していた。この報告書は、2021年のNational Health Interview Survey(NHIS)に基づくもので、地域および人口統計学的属性に照らし、過去12カ月間における米国民のテレヘルスの利用状況を明らかにした。

それによると、テレヘルス利用の増加に関連する因子として、世帯収入が高いことや教育水準が高いことが示唆された。また報告書によると、女性の方がテレヘルス利用を報告する割合が高く、テレヘルスの利用率は男性の31.7%に対し、女性では42%だった。

テレヘルスの利用率は人種・民族によっても異なり、概してヒスパニック系ではそれ以外と比較して低かった。非ヒスパニック系アメリカンインディアンまたはアラスカ先住民では利用率が最も高く、回答者の40.6%が期間中にテレヘルスを利用していた。続いて、非ヒスパニック系白人が39.2%、非ヒスパニック系黒人が33.1%、非ヒスパニック系アジア人では33%だった。ヒスパニック系では32.8%と、人種・民族別で利用率が最も低かった。

出典:Shutterstock

世帯収入との関連性については、連邦貧困水準(FPL)100%未満とFPL100%~200%未満では、テレヘルスの利用率はそれぞれ33.1%と32.1%だったが、世帯収入がFPL400%以上では利用率は40.7%と高かった。テレヘルスの利用率は教育レベルにも関連しており、高卒の成人では利用率が28.7%であったが、大卒以上では43.2%が利用していた。

地域については、テレヘルスの利用率は北東部(40%)と西部(42.4%)で高く、対して中西部(33.3%)と南部(34.3%)では低かった。

2020年には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行を背景として、バーチャル診療の需要が大きく拡大した。米国最大の民間保険の医療請求データベースを保有する非営利組織のFair Healthによると、2019年9月から2020年9月までの1年でテレヘルスの利用件数は約30倍に増加した。また、保健福祉省(HHS)の監察総督室(OIG)によると、COVID-19のパンデミック発生から最初の1年間でメディケア受給者のテレヘルス利用率は前年の88倍に上昇し、受給者の約40%にあたる2,800万人以上がテレヘルス・サービスを利用した。

2021年以降のテレヘルス利用は、若干の変動が見られるものの全体としては鈍化傾向にあることが複数の報告書で明らかにされている。なお、テレヘルスによるバーチャル診療件数は、ピーク時からは減少しているものの、パンデミック以前との比較では依然として高い水準にあり、テレヘルスは一時的なトレンドではなく、将来は対面診療とバーチャル診療が組み合わされたハイブリッドケアに行き着くとみている。

(了)


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