2022/03/03

臨床医が紹介する日本のスタートアップ技術 (第16回)

AIでいつどこでも必要な医療が受けられる世界を作るメドメイン(前編)

医療コミュニケーション支援, 日本, 臨床医

病理医の課題を病理AI解析ソリューション「PidPort」が解決する

 

(出所:Shutterstock)

私は呼吸器内科医として病理医の先生にお世話になることが多いです。気管支鏡検査で生検した肺組織や胸水、胸膜など様々な検体を病理医の先生に診断してもらってこそ、治療に結び付けられます。
例えば、肺がんの診断においては癌の組織型の決定やそのための免疫染色、また現在は様々な癌の遺伝子変異の検索や免疫阻害薬投与の指標となるPD-L1の評価など、病理医の先生の診断確定より治療が決定していきます。これは非常に重要な役割です。最近は遺伝子変異陽性例に対する新規薬剤が日に日に開発され承認されています。

他にも、間質性肺炎ではその難しい病型の判断を気管支鏡や胸腔鏡、最近はクライオバイオプシー*¹などによる生検検体から診断します。もちろんその診断は病理医だけではなく、臨床医や放射線科医との他分野連携的な討議による診断(MDD: multidisciplinary discussion)が必要とされています。

昨今では病理医不足が叫ばれており、病理診断に際して現場の医師には大きな負担がかかっていることから、テクノロジーを活かした解決が望まれています。そのような状況を解決すべく、メドメイン株式会社は「PidPort」を開発・提供しています。このプロダクトは、深層学習によって開発された病理AIによる高精度で迅速な解析結果の提示と遠隔病理診断などのオンライン上での病理診断を可能にします。

「Imaging Center」
(出所:メドメイン株式会社)

 同社の「PidPort」は、大きく以下の3つの機能を持つシステムです。

  1. 病理AIによる高精度で迅速な解析結果の提示
  2. 遠隔病理診断・コンサルテーション支援、カンファレンス・教育研究支援
  3. 病理標本データのデジタル保管

そして、「PidPort」と併せて、病理標本のデジタル画像化を行う「Imaging Center」というスキャンニングサービスの提供も行っています。

海外では病理AIの研究は進んでいて、私もいくつかの病理AIに関する論文やプロダクトについてリサーチしたことがあります。

(次ページへ)


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日本で医療用医薬品ネット販売を検討中と一部報道で囁かれているAmazonだが、米国ではプライマリケアプログラム「Amazon Care」向けの買収や提携を積極的に強化し、ポストコロナのハイブリッド型ケアの将来を模索している。また、公的保険制度のメディケアでは、保険償還の対象となった遠隔患者モニタリング(RPM)の利用拡大傾向が調査で明らかとなった。スタートアップ各社では、レイオフのニュースが相次いだ一方、第2四半期の決算発表を通じて、各社の次の展開が少しずつ見えてきた。

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