2023/07/11

米国eHealthジャーナル第91号

Akili Interactive、2023年第1四半期の決算を発表

デジタルセラピューティクス, Akili, VC投資・M&A・決算, 精神疾患, ジャーナル第91号

EndeavorRxの市場が拡大

小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者向けのデジタル・セラピューティクス(DTx)を手掛けるデジタルヘルス企業のAkili Interactive(以下、Akili)は5月11日、2023年第1四半期の決算を発表した。

Akiliは、8~12歳のADHD患者における注意機能の改善を適応としたビデオゲーム基盤の処方箋DTxである「EndeavorRx」について、2020年6月にFDA承認を獲得した。実質的に同等な製品が存在しない、安全性リスクが低~中程度の革新的医療機器を対象とするデノボ(de novo)申請経路で承認されたEndeavorRxは、ゲームを活用してユーザーの行動変容を促す「ゲーミフィケーション」を用いた疾患治療製品をFDAが承認する初のケースであるとともに、ADHDに関連する症状の改善を目的として承認された初の処方箋DTxでもある。


出典:Akili

第1四半期の売上は、直前四半期(2022年第4四半期)の11万1,000ドルから横ばいの11万3,000ドル、GAAPベースの純損失は直前四半期の1,680万ドルから2,070万ドルに拡大した。総営業費用は1,910万ドルで、直前四半期の2,210万ドルから減少した。Akili によると、第1四半期末の現金、現金同等物および短期投資資産は1億1,740万ドルで、これらの資金により、2025年第1四半期までの事業継続が可能となる見通しだ。

同社は、EndeavorRxの販売が好調であることを報告した。第1四半期のEndeavorRxの総処方箋件数は、直前四半期から32%増、また前年同期比では255%の増加となった。

Akiliの最高経営責任者(CEO)であるEddie Martucci氏は、「小児市場でEndeavorRxの利用が着実に増えている。5月には、13歳~17歳を対象とするEndeavorRxの追加承認に向けて、ピボタル臨床試験データをFDAに提出したことに加え、成人のADHD患者を対象としたピボタル臨床試験においても良好な結果が得られたことから、今後EndeavorRxの市場は大幅に拡大する見通しであり、米国で少なくとも1,400万人のADHD患者にアプローチできる可能性が出てきた」と述べた。

Akili は2022年8月、特別買収目的会社(SPAC)であるSocial Capital Suvretta Holdings Corp(SCS)との合併を完了し、ナスダックに上場した。Akiliによると、同社はSPAC合併取引の一環で約1億6,400万ドル以上を調達した。しかし上場から間もなくして株価は暴落し、2023年以降は1~2ドルの間を推移している。

Akili は2023年1月、従業員の約30%を削減する計画であることを明らかにした。Martucci氏は、従業員に宛てたEメールメッセージの中で、「現在の経済環境下でAkiliが独立性を維持するためにはオペレーションを縮小する必要がある。社内外の支出を削減して持続可能な経営モデルを確立し、黒字体質への転換を目指す」と述べた。同社は、EndeavorRxの市場浸透と適用範囲の拡大に注力するための資本の確保に向けて、ADHD以外のプログラムを保留にした。この決断により、自閉スペクトラム症(ASD)、多発性硬化症(MS)、大うつ病(MDD)性障害を適応症とするDTx候補の開発プログラムと、試験開始が予定されていた認知モニタリング・プログラムなどが保留となった。

(了)


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