2023/06/27

米国eHealthジャーナル第90号 

Amwell、2023年第1四半期決算を発表

Amwell (American Well), ジャーナル第90号, VC投資・M&A・決算, テレヘルス, DarioHealth

のれんの減損損失計上で赤字幅が大きく拡大

テレヘルス大手のAmwellは5月3日、2023年第1四半期決算を報告した。

第1四半期の売上は前年同期の6,420万ドルから横ばいの6,400万ドルだった。うち、サブスクリプション収入が2,870万ドル、診療収入が3,250万ドルを占めた。調整後EBITDA(金利、税金、償却前利益)は、4,710万ドルのマイナスだった前年同期から当期は4,460万ドルのマイナスとなった。

Amwellは、2023年通年の売上予測を2億7,500万ドル~2億8,500万ドルとする以前発表の業績ガイダンスを据え置いた。調整後EBITDAについても同様に、1億5,000万ドル~1億6,000万ドルのマイナスとなる見通し。また、非サブスクリプションの年間診察件数は145万件~165万件に到達するという。

2023年第1四半期の純損失は、前年同期の7,030万ドル、直前四半期(2022年第4四半期)の6,160万ドルから大幅に拡大し、3億9,850万ドルを計上した。株価の持続的な下落に関連するのれんの減損損失として、3億3,030万ドルを計上したことが理由。AmwellのCFOであるBob Shepardson氏は決算説明会において「減損損失は、株価と時価総額が持続的に下落したことによるもので、四半期末時点で株式の簿価と比較した調整が必要となった」と述べた。

Amwellは2020年9月に新規株式公開(IPO)を実施し、二ューヨーク証券取引所(NYSE)に上場している。HIPAA準拠のリアルタイム・ビデオ通話(あるいはリアルタイム・チャット)プラットフォームの利用料金は、Amwellと提携関係にある保険プランの加入者の場合、プラン規定の自己負担金を支払う仕組みだ。Amwellと提携関係にない保険に加入している場合や無保険者の場合には全額自己負担となるが、価格は109ドル~と、米国では「安価」といえる料金設定となっている。


出典:Amwell

Amwellは2021年4月に「Converge」と呼ばれるオープン・アーキテクチャ基盤の最新のバーチャル・ケアプラットフォームを立ち上げ、サードパーティーのデバイスやアプリとの統合を通じて、医療サービスプロバイダーや患者を含むステークホルダー間の「接続性」を改善する取り組みに着手した。例えば2023年3月には、Amwellのデジタル臨床プログラムに心血管代謝プログラムを含める目的で、デジタル・セラピューティクス(DTx)企業のDarioHealth(以下、Dario)と提携した。本提携に基づき、Amwellのテレヘルス・プラットフォームを使用してバーチャルケアを受けている患者は、保険プランや担当医師によって、Darioの慢性疾患管理DTxにシームレスに接続されることとなる。

イスラエルで開発された技術を基に2011年にデラウェア州に設立されたDarioは、現在はニューヨーク州ニューヨークに本拠を構える。慢性疾患分野でDarioは、糖尿病管理、高血圧症管理、体重管理のためのDTxを提供している。いずれのDTxも、コネクテッドデバイス(血糖値測定デバイス、デジタル体重計、デジタル血圧計)と、コンパニオン・スマートフォンアプリをコア要素としており、専門家によるデジタルコーチングや疾病モニタリングを介して、デジタル基盤の疾病管理を実現する。Darioによると、アプリは8言語に対応しており、コーチングも複数言語で提供されている。同社の「Dario Blood Glucose Monitoring System」はFDAをはじめとする各国の規制当局から医療機器として承認されており、米国、カナダ、英国、ドイツ、イタリア、オーストラリア、オランダ、ニュージーランドで販売されている。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2023 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事