2023/01/24

米国eHealthジャーナル第81号

東京拠点のAIドクター企業Ubie、1,900万ドルの追加調達を実施

ジャーナル第81号, VC投資・M&A・決算, AI技術, 医療コミュニケーション支援, Ubie

ニューヨーク州に2社目となる現地法人を設立

スマートフォンやウェブサイトで健康相談を受けられる、人工知能(AI)搭載型アプリを提供する東京拠点のデジタルヘルス・スタートアップ企業Ubieは12月8日、米国ニューヨーク州に現地法人を設立したと発表した。同社によると米国現地法人の社名はUbie, Incで、設立日は2022年10月4日。シンガポール法人に続く2社目の海外法人設立となる。Ubieは「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションとしている。同社はAIをコア技術とし、医療の入り口である「問診」にフォーカスした複数のサービスを提供している。今回の現地法人設立により、米国における生活者向けサービスのさらなる拡充と、製薬企業との連携強化を図るという。

Ubieは、医療機関向けの「ユビーAI問診」と一般消費者向けの症状検索エンジン「ユビー」を提供している。ユビーAI問診は、患者ごとにAIが最適な質問を自動生成・聴取し、医師のカルテ記載業務の効率化を実現するWEB問診システム。患者はAIアシストのもと、タブレットやスマートフォンで簡単に「問診」を完了できる。患者の待ち時間を大幅に軽減し、受付担当スタッフの負担を削減、また、問診内容はすぐに電子カルテに反映されるため医師の事務作業も削減される。一般消費者向けの「ユビー」は、現役医師たちが開発した無料で利用できる症状検索アプリで、いくつかの質問に答えるだけで、関連する病気や、対処法を知ることができる。また、適切な診療科や、近所の病院・クリニックを調べることも可能で、一部の医療機関とはユビーでの「結果」の連携を通じて、スムーズな診察を実現している。

Ubieは4月には、米国でのAI基盤症状チェッカーの提供開始を明らかにしている。2017年創業のUbieは、当初よりグローバル展開を目指しており、Babylon Health やAda Health、Buoy Health、WebMD、K healthなどのデジタルヘルス企業で混み合う米国のAIドクター市場に参入を果たした。米国で提供されているUbieの英語版のサービスは、米国における疾病トレンドやその他の地域特性を反映した、カスタム化されたAIアルゴリズムを備えている。

Ubieは8月、シリーズC投資ラウンドで2,600万ドル(35億円)を調達したことを明らかにした。一部報道は、Ubieによる米国現地法人設立の発表と同日の12月8日に、 Ubieが追加ラウンドでさらに1,900万ドルを調達したと報じた。同ラウンドには、総合メディカル、AAIC Investment、日本インパクト投資2号ファンド、楽天キャピタルのほか、商工組合中央金庫、日本政策金融公庫、みずほ銀行が参加した。Ubieはこれまでに7,600万ドルを調達している。

(了)


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