2022/10/25

米国eHealthジャーナル第75号

Pfizer、癌種不問の大規模臨床試験で Strataと提携

Strata Oncology, 悪性新生物(癌), ジャーナル第75号, 提携, Pfizer, 患者データ・疾病リスク分析, 臨床試験

微小転移癌患者コホートで安全性と有効性を評価

Strata Oncologyは9月13日、米製薬大手のPfizerと提携したことを明らかにした。Strataは、分子プロファイリングとリアルワールド・データ(RWD)、そして大規模臨床試験プラットフォームを利用して個々の癌患者ごとに最適な治療薬を特定し、その治療をより早く届けることを目指す、遺伝子テスト活用型の次世代プレシジョン・オンコロジー企業。

Strataが現在実施中の「StrataPATH試験」は、癌種を問わず、新規バイオマーカーによって選別した被験者を対象として、複数のFDA承認済み癌治療薬の安全性と有効性を評価する前向き試験。Pfizerは2021年3月、末期癌患者を対象としたStrataPATH試験の最初の4つのコホートに対し、自社の癌治療薬を無償で提供した。

出典:Shutterstock

今回の提携では、最初の治療後に微小転移が見られた癌患者を対象に新設する最大6つのコホートに対し、BRAFキナーゼ阻害剤のBraftovi(一般名encorafenib)、MEK阻害剤のMektovi(一般名binimetinib)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)チロシンキナーゼ阻害剤のLorbrena(一般名lorlatinib)の3剤を提供する。

微小転移癌患者コホートの被験者の大部分は、Strataが実施中の観察試験、「Strata Sentinel試験」の被験者の中から選ばれる。Strata Sentinel試験では、癌種を問わず10万人の癌患者にStrataの血中循環腫瘍DNA(ctDNA)基盤の微小残存病変(MRD)テストを受けてもらう。そうして作成する分子標的薬選定プロファイルを基に、StrataPATHを含む臨床試験への患者の適切かつ迅速な割り当てが可能になるという。MRDとは、治療中および治療後も体内に残り、最終的には癌の再発を引き起こす可能性がある少数の癌細胞を指す。

PfizerはStrataPATH試験の末期癌コホートに対しては、Braftovi、Mektovi、Lorbrenaのほかにもポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤のTalzenna(一般名talazoparib)、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1、2、3阻害剤のInlyta(一般名axitinib)の合計5剤を提供している。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2022 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事