2022/10/11

米国eHealthジャーナル第74号

AIドクターによるトリアージおよび診断の精度は概して低い

研究・調査, ジャーナル第74号, 医療コミュニケーション支援

患者向けツールへの期待と現実のギャップ

NPJ Digital Medicineに8月17日付で発表された、人工知能(AI)基盤のオンライン症状チェッカーの系統的レビュー、「The diagnostic and triage accuracy of digital and online symptom checker tools: a systematic review」によると、これらのAIドクターの精度は概して低い。

米国のAIドクター市場は、Babylon HealthAda HealthBuoy HealthWebMDK healthなどのデジタルヘルス企業で混みあっており、これらの企業が提供するAIドクターのほかに、数多くのオンラインツールが存在している。AIドクターは、疾病の早期診断と適切なケアのタイムリーな提供を支援することで医療費の削減と患者の治療アウトカムの改善に直結することが期待されており、AIドクターを利用したデジタル・ファーストのアプローチはペイヤーに強く訴求するものとなっている。こうしたことから、米国では医療機関だけでなく、民間保険会社も積極的にAIドクター企業と提携している。

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出典:Shutterstock

Imperial College Londonを中心とした英国の研究班は今回、トータルで48のAI基盤のオンライン症状チェッカーを評価した10件の研究を精査した。研究の半数は実際の患者、もう半数はシミュレーションに基づくものだった。結果、これらのオンラインツールが最初に示した「考えられ得る症状」の精度は19%~38%だった。また、「考えられ得る上位3つの症状」の中に正しい診断が含まれていた割合は33%~58%だった。

一方、症状の緊急性に応じて、自宅での療養もしくは医師の診療に関する「アドバイス」を提供するトリアージの精度については49%~90%だった。緊急性の精度を評価した3件の研究のうち2件では、緊急ケアを必要とするケースにおいてはより高い精度でトリアージが出来ていたことが示された。しかし、1件の研究によると、眼科緊急ケアを必要とするケースで正しくトリアージが出来ていた割合は33%で、非緊急のケースにおけるトリアージの精度88%よりもずっと低かった。

研究班は、「系統的レビューによって、症状チェッカーが行うトリアージおよび診断の両方について、その精度が概して低いことが明らかになった。診断とトリアージの精度、および性能におけるばらつきは、評価しようとする症状の曖昧性に大きく左右されると言える」と述べた。研究班は、「医療システムにおいて、患者を適切な治療経路へと導くトリアージサービスとしての役割がますます重要視されている中で、医師が関与しない患者向けのツールとしての症状チェッカーが使用されることについて多くの懸念を提示する研究となった」と述べた。

(了)


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