2022/01/24

ヘルスケアの現場から考えるデジタルヘルス(第2回)

病理診断業務におけるデジタル化とは?

AI技術, 診断・検査・予測

バーチャルスライドの有用性と今後の課題

(出所:Shutterstock)

医療界のデジタル化というと、電子カルテ、外来と検査の案内の自動案内、自動精算機やスマートフォンのアプリケーションなどが思い浮かびやすい。病院の奥へさらに踏み込んだところでは、検査や診断業務のデジタル化が進んでいる。特に病気の診断業務においては、近年、デジタル化による効率化が著しい。診断業務とは、放射線科医による画像の読影や、病理診断医による病理診断などがある。今回は、この中でも病理診断におけるデジタル化に注目していきたい。

病理診断という言葉はあまり馴染みがないかもしれない。患者さんが病院に来院されると、適切な治療のために適切な診断が必要となる。そこで最終診断として大きな役割を果たすのが病理診断である。患者さんの体より採取された病変の組織や細胞から顕微鏡用のガラス標本がつくられ、この標本を顕微鏡で観察して診断するのが病理診断である。また、この病理診断を専門とする病理医が存在する [1]。

では、病理診断においては、どのようにデジタル化が進んでいるのであろうか。長年、病理診断はスライドガラス標本を使用して行われてきた。1症例につき、必要な部分について10枚以上ものスライドガラスを作り、さらに1か所について何種類もの特殊な染色標本を作製するため、保存場所が大きな問題であった。

(次ページへ)


本記事に掲載されている情報は、一般に公開されている情報をもとに各執筆者が作成したものです。これらの情報に基づいてなされた判断により生じたいかなる損害・不利益についても、当社は一切の責任を負いません。記事、写真、図表などの無断転載を禁じます。
Copyright © 2022 LSMIP事務局 / CM Plus Corporation

連載記事

執筆者について

関連記事

関連記事はありません