2022/01/18

臨床医が解説するアジアのヘルステック(第3回)

気管支喘息の吸入療法におけるイノベーションとなる「Whizz」(後編)

臨床医, 医療コミュニケーション支援

気管支ぜんそく治療におけるアンメットニーズの解決手段となるか

「Whizz」の治療面での検証と製品の開発
前回記事で紹介しました通り、「Whizz」は搭載している流速モニターで吸入速度を計測し、pMDIを用いた有効な吸入ができているかを評価できます。表面に搭載したLEDパネルで十分な速度ならば緑、不十分ならば赤で表示することで、簡単に確認できます。これは薬剤を使用しない状態でも使用可能であり、吸入の練習器具としても十二分な効果が期待されます。
子供や高齢者では十分に吸入できているか評価することが難しく、手技が一定しないことも多いため、毎回の手技が有効であるかを評価できることは、非常に有用です。特に、それを人に確認してもらうのではなく、自分で確認できることも大きなモチベーションになります。そのため、子供・親の双方が使用しやすいよう、アプリとの連動で使用状況が確認しやすく、また、ゲーム性のあるRewardシステムが設定されました。
さらに、リマインダー機能を用いる事で、忘れがちな吸入のタイミングを知らせたり、使用履歴、正確に吸入できている割合を月ごとのレポートで客観的に確認できたりすることで、コンプライアンス改善の手助けとなります。


(出所: Meracle Pte Ltd)

日常診療における喘息診療の課題・問題点
私自身、診療所にて内科疾患全般の診療を行っており、喘息患者の治療を行う機会が非常に多く、喘息のコントロールがなかなか安定しない患者さんに時折遭遇します。それほどアレルギー素因が強くなく、生活環境などにも問題が少ないのに頻回に喘息発作を繰り返してしまい、生活が制限されるような方がいます。そういったとき、昨今では治療の選択肢が増えている事もあり、より強い治療への変更を検討する事があります。それでも目に見える改善が乏しい・反応が悪いケースも少なくありません。重症喘息に対しては生物学的製剤の使用も現在は可能ですが、非常に高額な治療でもあり(月10万円以上)、現実的ではありません。

高齢者や循環器疾患を持つ患者さんですと、短時間作用型β2刺激薬 (SABA)*¹の頻回使用や、高容量の長時間作用型β2刺激薬 (LABA) の使用によって頻脈が増強してしまい、心不全等の増悪を引き起こしてしまう方もいます。このようにコントロールが不良な喘息の患者さんは、まずはしっかり吸入ができているかを確認する必要があります。指示通りの使用回数で毎日使えているか、ちゃんと吸えているのかを患者・家族に確認をします。

(出所:shutterstock)

しかし、高齢者等では非常に難しい事があります。明らかに怠薬があれば話は早いのですが、本人は吸っているつもりでも、実際は十分な吸入ができていない・同調して吸入できていないケースも少なくありません。

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