2023/05/09

米国eHealthジャーナル第87号

自閉症ケア企業のSpectrumAi、シリーズA資金調達ラウンドにおいて2,000万ドルを調達

患者データ・疾病リスク分析, SpectrumAi, 精神疾患, ジャーナル第87号, VC投資・M&A・決算

ABA療法のクオリティとアウトカムデータの分析を支援

自閉症ケアに注力するカリフォルニア州ロサンゼルス拠点のSpectrumAiは3月16日、CVS Health Venturesが主導するシリーズA資金調達ラウンドにおいて2,000万ドルを調達したことを明らかにした。CVS Health Venturesは、薬局チェーン、アージェントケア、薬剤給付管理(PBM)事業のほか、傘下に大手民間保険のAetnaを擁するCVS Healthのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)。同ラウンドには、2022 年6月に完了したSpectrumAi のシード資金調達ラウンドに参画したSpectrumAiの既存投資家であるCobalt Ventures、F-Prime、Frist Cressey Ventures、および Autism Impact Fundも参画した。

SpectrumAiは今回調達した資金を活用して、応用行動分析学(ABA)療法のデータ収集と文書化のための電子カルテ「Twyll」と、ネットワーク分析プラットフォーム「Patterns」の導入を加速し、自閉症に対するABA療法のデータ取得と客観的測定の改善を目指す。

ABA療法は、自閉症などの症状を持つ人々のコミュニケーション能力、社会性、学習能力の向上を目的とするもの。「個人」というよりも、個人を取り巻く周囲の「環境」に着目するアプローチで、行動の前後を分析することでその行動の目的を明らかにし、前後の環境を操作して問題行動を解消し、コミュニケーションや適切な行動を成立させることを目指す。ABAは、教育、スポーツ、企業コンサルティング、リハビリなどの分野で幅広く活用されている。また、自閉症児など、発達に課題がある子どもの問題行動を適正な行動に変えることに初めて成功した治療法として知られ、米国では標準療法として多くの州において保険適用で実施されている。

2021年に設立されたスタートアップ企業のSpectrumAiは、 ABA療法のクオリティとアウトカムデータの分析を支援するツールを提供している。SpectrumAiの最終的なゴールは、同社の技術を活用することによって、ABA療法の「価値に基づく支払い(VBC)」契約を実現することにある。

SpectrumAiによると、自閉症は、米国で最も患者人口が急速に拡大している発達障害であり、ABA業界はかつてないほどの成長を見せている。ABA療法は集中的かつ長期的な治療法で、平均で週25~40時間実施されるが、その有効性の測定方法はこれまで、保護者や医療従事者による主観的な評価に限られていた。「ABA療法のプロバイダーは、ABA療法のデータ収集や文書化の方法や、客観的なアウトカム測定を改善する方法を切望している。SpectrumAiは、それぞれの子供が最適なアウトカムを得られるよう支援する強力なツールをフロントラインの技術者や臨床医に提供する」と、SpectrumAiの創設者兼CEOのLing Shao氏は声明で述べた。

出典:Shutterstock

(了)


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