2022/10/11

米国eHealthジャーナル第74号

Akili Interactiveがナスダックに上場

デジタルセラピューティクス, VC投資・M&A・決算, ゲーミフィケーション, Akili, ジャーナル第74号, 精神疾患

ビデオゲーム基盤の処方箋DTx、「EndeavorRx」の患者アクセス向上へ

小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者向けのデジタル・セラピューティクス(DTx)を手掛けるデジタルヘルス企業のAkili Interactive(以下、Akili)は8月19日、特別買収目的会社(SPAC)であるSocial Capital Suvretta Holdings Corp(以下、SCS)との合併を完了したと発表した。Akili とSCSは1月に合併合意に至っている。SPACとは、それ自体は特定の事業を持たずに、主に未公開会社・事業を買収することのみを目的とした投資ビークルで、事業を営む被買収会社を存続会社として上場させる機能を持つ。Social Capitalとの合併により、Akiliは8月22日にナスダックキャピタルマーケットに上場する。銘柄(ティッカーシンボル)はAKLI。

Akiliは、8~12歳のADHD患者における注意機能の改善を適応としたビデオゲーム基盤の処方箋DTxである「EndeavorRx」について、2020年6月にFDA承認を獲得した。実質的に同等な製品が存在しない、安全性リスクが低~中程度の革新的医療機器を対象とするデノボ(de novo)申請経路で承認されたEndeavorRxは、ゲームを活用してユーザーの行動変容を促す「ゲーミフィケーション」を用いた疾患治療製品をFDAが承認する初のケースであるとともに、ADHDに関連する症状の改善を目的として承認された初の処方箋DTxでもある。


出典:Akili

EndeavorRxのアプリは、AppleのApp StoreもしくはGoogle Playからダウンロードが可能だが、利用するには医師の処方箋とアクティベーションコードが必要となる。処方箋は、ADHDの小児の治療を担当している医師、もしくはテレヘルス企業RxDefineのプラットフォームを活用してバーチャル診療を実施した医師が、Akili の薬局パートナー企業であるPhil pharmacyに提出する。EndeavorRxの製品ウェブサイトには、RxDefineのテレヘルス・プラットフォームへのリンクが貼られている。Phil pharmacyは医師から処方箋を受け取ると、患者にテキストメッセージ(SMS)でEndeavorRxの発注と支払いを実行するサイトのリンクを送る。患者による支払いが済むと、 Phil pharmacyからアクティベーションコードが送付される仕組みだ。Akiliによると、EndeavorRxは保険適用で利用できる場合もあるが、患者が加入する保険会社でカバーされない場合には、自己負担額は99ドルとなる。

Akiliによると、同社はSPAC合併取引の一環で約1億6,300万ドル以上を調達した。Akiliでは調達した資金を、EndeavorRxのより幅広い「上市」のために活用する。EndeavorRxの広範な商用提供は2022年第4四半期に予定されている。また、調達した資金は、DTx開発パイプラインの強化にも利用される。具体的には自閉スペクトラム症(ASD)や大うつ病(MDD)、多発性硬化症(MS)患者における認知障害を適応症としたDTxの開発に活用するという。

(了)


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