2019/12/10

米国eHealthジャーナル 第9号

McKessonとAetionが戦略的提携

患者データ・疾病リスク分析, Aetion, ジャーナル第09号

RWEを利用して癌研究を促進

医薬品卸大手のMcKessonとリアルワールド解析およびリアルワールド・エビデンス(RWE)を提供するソフトウェア開発企業のAetionは10月15日、癌臨床研究におけるRWE利用を促進するための戦略的提携を結んだと発表した。乳癌、肺癌および黒色腫など、複数の癌型におけるベストインクラスの「RWEソリューション」提供を目的とする。

両社は提携で、「Aetion Evidence Platform」と呼ばれるAetionの技術プラットフォームと、マッケソンの「iKnowMed」と呼ばれる癌専用の電子医療記録(EHR)を利用し、FDAが求める規制要件を充足するアウトカム研究を進める。

Aetion Evidence Platformは、ヘルスケアシステムにおける日常的な臨床データと支払いデータから、治療の有効性および価値について実質的証拠を明らかにするもの。Aetionの迅速サイクル解析技術「Rapid-Cycle Analytics」を利用することにより、ユーザーはエビデンス検出にかかる時間を大幅に短縮し、患者アウトカムを向上させることができるという。

合意の下McKessonとMcKessonは、これらの技術をまず、RWEを使って癌の無作為化対照試験(RCT)を再現する、「RCT DUPLICATE」と呼ばれるFDAの実証プロジェクトを率いるBrigham and Women's Hospital(BWH)の研究班に提供する。

BWHはHarvard Medical School傘下の非営利教育病院。これにより、癌分野において、規制要件を満たし臨床試験に代替するアウトカム試験の実施と、短時間で癌データから洞察を得ることが可能になると期待されている。

RCT DUPLICATEは、現在進行中のフェーズIV臨床試験7件について結果の予測を行うデモンストレーション・プロジェクトで、未完了の無作為化試験の結果を予測する初めての試みとなるもの。

同プロジェクトに参加する研究者は、すべての分析作業をAetion の技術プラットフォーム上で行う。研究者が7件の臨床試験を臨床試験データベースである「clinicaltrials.gov」に登録し、FDAは臨床試験の内容、プロセス、結果への直接的アクセスを取得する。

Aetionは、FDA職員に対し同社プラットフォームの使い方を訓練し、RWEを基にした臨床試験や、プラットフォームの堅牢性を検証できるようにする。
Aetionは、RWEに基づく無作為化臨床試験の再現を目的としてBWHおよびFDAと以前から提携関係にある。

3組織はAetion Evidence Platformを利用して、医薬品承認、特に追加適応に対する承認の迅速化と、医薬品の開発、承認、商業化のあり方の変革にRWEが価値を提供できるかどうかを検証中で、具体的には、FDAが承認審査に用いた30件の発表済み無作為化臨床試験の結果について、関連するRWEデータセットを分析している。

30件の臨床試験は、心血管疾患、内分泌疾患、筋骨格疾患、肺疾患の4疾患分野にまたがり、そのうち23件が承認を含むFDAの肯定的な判断に、残り7件が否定的な判断につながった。RWEデータセットを分析することにより、RWE使用でFDA判断が変わっていた可能性があるかどうかを検証する。

プロジェクトの結果は、RWE使用が医薬品開発および承認のための臨床試験を補完できるものになるか、また、臨床試験に置き換わるものになるかを示すことが期待されている。


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