2022/09/13

米国eHealthジャーナル第72号

Pear TherapeuticsとIncluded Healthがレイオフへ

Pear Therapeutics, VC投資・M&A・決算, ジャーナル第72号

市況の冷え込みを受けて新興テクノロジー企業は試練に直面

一部報道は7月27日、 テレヘルスおよびヘルスケア・ナビゲーションプラットフォーム企業のIncluded Health(以下、Included)と、デジタル・セラピューティクス(DTx)企業のPear Therapeutics(以下、Pear)が従業員をレイオフ(一時解雇)する計画を明らかにしたと報じた。

ロシア・ウクライナ戦争や、米国で急速に進むインフレへの懸念とその対応としての利上げなどを背景に、投資家の弱気姿勢が強まり株式市場全体が軟調に推移する中、世界の新興テクノロジー企業は現在、試練に直面している。ハイテク株安と新規株式公開(IPO)市場の低迷によって資金調達のハードルが上がっており、スタートアップ企業が生き残るためには、レイオフに踏み切らざるを得ない状況にある。IncludedとPearのレイオフは、デジタルヘルス分野で起きている一連のレイオフ計画の最新のものである。

出典:Shutterstock

Pearは処方箋DTxのパイオニア企業として知られ、FDA承認済みの処方箋DTxを3製品擁している。同社は、特別買収目的会社(SPAC)であるThimble Point Acquisition Corpとの合併により、2021年12月にNasdaq株式市場への上場を果たした。銘柄コードは「PEAR」。Pearの7月25日付の証券取引委員会(SEC)提出資料によると、現在の厳しい市況に鑑み、フルタイム従業員の約9%にあたる約25名をレイオフする。これによって向こう18カ月に渡り約2,800万ドルの営業経費を削減できるという。

Includedは、テレヘルス大手のDoctor On Demandとヘルスケア・ナビゲーションプラットフォームのGrand Rounds Healthの合併によって誕生した企業だ。合併完了後間もない2021年5月に、新会社は、 LGBTQ+コミュニティ向けのケアナビゲーション・プラットフォーム企業、Included Healthを買収する計画を明らかにした。LGBTQ+はセクシュアルマイノリティの総称の1つで、Included Healthは、全ての人々に対するヘルスケアシステムの実現をミッションとする。その後、
同年10月に新会社は、「Included Health」の名前を踏襲することを発表した。Includedによると、同社は総従業員数の約6%をレイオフする計画。

6月には、 DTCテレヘルス・プロバイダーのRoman Health Ventures(以下、Ro)が従業員の約18%をレイオフすることが報じられた。Roは、主要なデジタルヘルス・ユニコーン企業として知られる。ウェアラブル・フィットネス・トラッカーのWHOOPも7月に、従業員の15%をレイオフしたと報じられている。同社は、2021年8月のシリーズF資金調達ラウンドで2億ドルを調達し、その評価額は当時36億ドルに到達していた。ほかにも、オンライン薬局のCapsuleや、家庭用診断キット開発企業のCue Health、ハイブリッドケア・プロバイダーのCarbon Healthが、レイオフ計画の実施を明らかにしている。

(了)


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