2019/08/27

米国eHealthジャーナル 第2号

Clover Health、創薬へのデータ活用にフォーカスする子会社Clover Therapeuticsを設立

ジャーナル第02号, 患者データ・疾病リスク分析, 診断・検査・予測

 
 

Genentechとの提携の下で眼科疾患に注力

メディケア・アドバンテージ(MA) プランの提供に特化するカリフォルニア州サンフランシスコ拠点の「保険技術(insurtech)」スタートアップ企業、
Clover Healthは7月10日、Clover Therapeuticsと呼ばれる子会社を設立したと発表した。

Clover Therapeuticsは、親会社のClover Healthと同様にAIと機械学習を利用して、Clover HealthのMAプランに加入するメディケア受給者の健康に関して予測を行う。参加同意を得たメンバーの臨床データとゲノムデータを分析し、短期的にはより良い患者ケアの提供、長期的には医薬品の開発に役立てるという。創薬の取り組みにおける最初のフォーカスは眼科疾患で、Rocheの米国子会社であるGenentechとの提携の下で実施される。Clover Healthによると、Clover Therapeuticsが実施するデータ分析は同意を表明した患者に限られ、患者データ保護の観点から、Clover HealthとClover Therapeuticsの間にはファイアウォールが設置されている。

Alphabet から資金を調達したClover Healthは、AIと機械学習を利用したデータ分析と予防医療の推進により、より安価なMAプランをメディケア受給者に提供することを目指している。MAプランとは、公的保険であるメディケアのパートA(入院保険給付)とパートB(外来診療給付)を民間保険会社が受給者に提供するものだ。
Clover HealthのMAプランは、パートAとパートBに加えて、パートD(処方箋医薬品給付)や歯科保険、眼科保険、聴音関係のサービスも提供している。さらに、通常のMAプランでは、受給者はメディケアパートBの保険料に加えて、それぞれのMAプランが設定する月額保険料を支払うが、Clover HealthのMAプランはほとんどの場合、追加的な支払いはなく、パートB保険料のみで、包括的な医療サービスが受けられる仕組みとなっている。

Clover Health は、PPO (Preferred Provider Organization)と呼ばれるカテゴリーのマネージドケア組織で、同じマネージドケア組織の1つであるHMO(Health Maintenance Organization)よりも患者の自由度が高い。HMOは、原則として保険プランと契約関係にあるネットワーク内の医師の診療しか認めず、専門医にかかる場合には必ずプライマリケア医からの紹介を必要とするが、PPOでは、患者自己負担額はネットワーク内医師を利用する場合よりも高くなるものの、ネットワーク外医師の診療を受けることが可能だ。

 

(了)


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