2019/07/23

米国eHealthジャーナル試読版

MIT、乳癌の発症リスク予測する新たなAIモデルを開発

研究・調査, 診断・検査・予測

学習により微細なパターンを特定

MITのCSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)とMassachusetts General Hospitalの研究班は5月7日、将来の乳癌発症リスクを、従来モデルよりも高い精度で予測する深層学習モデルを開発した。

CSAILは、研究領域においても研究員の人数においてもMIT最大の研究所である。

このモデルは、Massachusetts General Hospitalで治療を受け、既に結果が明らかとなっている6万人の患者に由来するマンモグラフィー画像を学習させて構築されたもの。

今回の深層学習モデルは、全ての癌患者のうち31%を、近い将来に乳癌を発症するリスクが極めて高いと正しく検出した。現在標準的に使われているリスク評価モデルではこの値は18%だった。

経験を積んだ医師や放射線技師でも、ごく初期に乳癌リスクを発見するのは極めて難しい。今回開発されたモデルは、9万件超のマンモグラフィー画像を使って、人の目では認識できないような微細なパターンも特定できるように訓練された。

また、新モデルのもう一つの売りは、人種にかかわらず一定のリスク予測ができることだ。

既存の乳癌リスク評価ツールの多くは、白人のデータに基づき構築されており、結果として非白人における精度が低くなっている。

アフリカ系アメリカ人女性の乳癌による死亡リスクは白人女性よりも43%高いため、人種によって左右されないモデルの開発には大きな意味がある。

(了)


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