2019/11/26

米国eHealthジャーナル 第8号

MAプランでApple Watchを提供

ジャーナル第08号, ウェアラブル, Apple

規制緩和でサービスが拡大

CNBCは10月7日、マサチューセッツ州ウォルサム拠点の民間保険会社Devoted Healthが、メディケア・アドバンテージ(MA)プランとしては初となる、Apple Watchの保険償還を開始すると報じた。Devoted HealthのMAプランの販促資料によると、MAプラン加入者はApple Watchの購入費用として最大150ドルをプランから受領できる。

Appleはこれまで、Apple Watchの保険償還について複数の民間保険会社と交渉を行ってきたが、高齢者市場の開拓は進んでいなかった。Devoted Healthの動きは、MAプランにおけるApple Watch採用の重要な一歩となるものだ。

MAプランで新たに高齢者市場を開拓 (出典)Apple

先進国で唯一皆保険制度を持たない米国では、民間保険会社が様々な内容の保険プランを販売しており、それぞれの保険プランのカバレッジは被保険者が支払う保険料によって大きく異なるものとなっている。大手企業(雇用主)が提供する保険プランでは、従業員への福利厚生の一環として、Apple WatchやFitbitなどのウェアラブルを提供することも多い。

民間保険会社がメディケアのパートA(入院保険)とパートB(外来診療)を提供するMAプランは、民間提供ではあるものの、連邦プログラムとして連邦法およびメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)策定の規則を遵守する必要がある。CMSは現在、MAプランの規制緩和を積極的に進めており、2020プラン年からMAプランにおける補足給付の対象は、これまでの「主に健康に関係するもの(primarily health-related)」から「必ずしも健康に関係しないが、健康の増進や維持に寄与することが合理的に予測されるもの(Not necessarily health-related, but are reasonably expected to improve or maintain health or overall function)」に変更された。補足給付とは、通常のメディケアでは保険償還の対象とされていないサービスをカバレッジに追加するためのもので、多くのMAプランで提供されている。 補足給付は、基本的に受給者が支払う月額保険料に追加料金を上乗せする形で実現される。

様々なサービスが、「健康の増進や維持に寄与することが合理的に予測されるもの」に含まれると考えられる。例えばこういったものだ。

―家をバリアフリー仕様にする
―空気清浄機の設置やカーペットのクリーニング、害虫駆除
―食料品の配達や移動手段の提供など、日々の活動の支援
―デイケアサービス、訪問擁護ケア
―「生活状態の満足度(well-being)」の向上に役立つもの

MAプランは今後ますます、保険カバレッジの手厚さで競争することになるだろう。

(了)


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