2019/11/12

米国eHealthジャーナル 第7号

Mightier、MGTから25万ドルを調達

VC投資・M&A・決算, ジャーナル第07号, 精神疾患, デジタルセラピューティクス, Mightier

 
 

小児ADHD治療用ゲーム

一部報道は9月24日、小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)治療用ゲームを開発する
Boston Children’s Hospitalのスピンアウト企業Mightierが、Modern Time Group(MGT)から25万ドルの資金投資を受けたと報じた。

MGTはスウェーデンのストックホルムを拠点とするデジタル・エンターテイメント企業。Mightierは、2019年5月のシリーズA投資ラウンドで660万ドルを調達したばかりで、今回の投資を含めこれまでに1,035万ドルを調達している。

 
Mightierは「感情をコントロールして心を落ち着かせる」スキルを養う25種類以上のゲームを提供している。ウェアラブル・リストバンドが心拍数をモニタリングして、ゲーム中に起こるユーザーの感情の起伏を「見える化」する仕組みだ。

心拍数が高くなるとゲームの難易度が上がっていく。心拍数が早いことを表す「赤」から平常時の「青」に戻すため、例えば一息おいて深呼吸してからゲームを再開する、といったスキルを、訓練により会得することが可能だという。

Mightierではサブスクリプションモデルを採用している。初期費用として必要となる99ドルの他に、ユーザーはサービスの内容に応じて月あたり19~35ドルを支払う。

Mightierによると新作のゲームが追加されてゆくため、子供がゲームに飽きることはないという。

小児のADHDの治療のためにビデオゲームを用いるというアイデアには人気がある。

(出典)Mightier

ニュージャージー州拠点の専門子供病院であるChildren’s Specialized Hospitalは2019年8月、特定のヘルスケアニーズを抱える子供のためにソリューション開発を行う同病院傘下CDID(Center for Discovery, Innovation and Development)と、ADHDの子供のためのビデオゲーム「ATENTIVmynd」の開発メーカー、ATENTIVが提携したことを発表した。

ATENTIVmyndは、脳とコンピュータを連動させて人間の能力を高めたり活動を補助するBCI(Brain-Computer Interface)と呼ばれる技術を基盤とするゲームで、ユーザーは、脳波形(EEG)検出センサー内蔵のヘッドバンドを付けながらゲームを行う。

ゲーム上のアバターは、ユーザーが集中すればするほど速く走ることができ、集中力が途切れると動きが遅くなる仕組みだ。

ATENTIVmyndは、集中力、記憶力、論理的思考能力、意思決定力といった遂行機能(高次脳機能)のうち、問題のある部分を特定し、脳の機能を育成するために、ユーザーのためにカスタマイズされた課題を提示する。

同分野におけるリーディング企業のAkili Interactive Labs(以下、Akili)は現在、ADHD治療のためのビデオゲームAKL-T01についてFDAの承認審査結果を待っている。

塩野義製薬は2019年3月、AKL-T01と、自閉スペクトラム症(ASD)患者向けにAkiliが開発中のAKL-T02について、日本および台湾における独占的開発・販売権を塩野義が獲得することでAkiliと合意したことを明らかにしている。

 

(了)


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