2021/08/24

米国eHealthジャーナル第48号

Royal Philips、医療技術企業のNICO.LABと提携

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脳卒中の早期治療とアウトカム改善で協力

ヘルスケア製品・医療関連機器を手掛けるオランダ拠点のヘルステック企業のRoyal Philips(以下Philips)は7月7日、脳卒中ケアのアウトカム改善を目的として、脳卒中ケアに注力する医療技術企業のNICO.LABと戦略的提携契約を締結したと発表した。

脳卒中は、後遺症として様々な身体障害が残る疾患として知られる。National Stroke Associationによると、脳卒中患者の40%は、生涯にわたり特別な支援を必要とする中等度から重度の障害を持つ。脳卒中による死亡や障害リスクを軽減するためには、一刻も早く治療を受けることが重要となるが、発症後に専門の医療機関で適切な診断と治療を受けるまで時間がかかることが多いのが現状だ。

両社は提携により、NICO.LABの「StrokeViewer」とPhilipsの「Azurion」を組み合わせ、脳卒中の早期診断と治療のためのワークフローを検証する。StrokeViewerは人工知能(AI)を利用するクラウド基盤の脳卒中トリアージおよび管理ソリューションで、脳卒中の診断から治療までのワークフローを最適化することにより、患者のアウトカムを改善するよう設計されている。具体的には脳のCTスキャンデータをAIで解析し、脳主幹動脈閉塞(LVO)とその範囲を自動的に検出する。解析結果は、一次脳卒中センターの一般放射線科医や神経科医と、患者が実際に治療を受ける脳卒中専門センターの神経科医や放射線科医と共有される。


(出典)NICO.LAB

PhilipsのAzurionは画像誘導治療システム。デジタル画像技術と、最先端の3Dライブイメージ・ガイダンスツールにより、医師が、一貫した処置をより効率的に実施するのを支援する。
Philipsの幅広い脳卒中ケアポートフォリオには、ほかにも脳卒中患者の救急ケアのための3D可視化計測ツールの「SmartCT」や、脳卒中モニタリング、救急車内でのコミュニケーション、診断画像や解析、脳卒中患者の遠隔評価のためのソリューションなどがある。


(出典)Philips

Philipsは同日、6時間以内に脳卒中を起こした早期脳卒中患者の包括的診断を、血管造影画像を基盤に行うことにより、専門的な治療開始までの時間短縮を目指す「Direct to Angio Suite」のワークフローを検証する、「WE-TRUST」と呼ばれる多施設無作為化比較対照試験の最初の被験者をスペインのバルセロナにあるヴァルヘブロン大学病院で登録したと発表した。Direct to Angio Suiteは、脳卒中の診断のために実施されるCTやMRIスキャンを回避するアプロ―チにより、患者ケアの前進を目指している。

(出典)Philips

(了)


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