2023/04/25

米国eHealthジャーナル第86号

VR/AR企業のVarjo、スイスの医療機器メーカーと提携

脳疾患, XR (VR/AR/MR)技術, 提携, ジャーナル第86号, 診断・検査・予測, 眼科/眼疾患, machineMD

VR基盤の神経眼科検査を開発

超高解像度VR/ARヘッドセットおよび専用ソフトウェアを開発するフィンランド企業のVarjoは3月7日、脳疾患の早期発見に役立つ診断機器「Neos」の開発を目的に、スイスの医療機器メーカーのmachineMDと提携したと発表した。machineMDが開発中の脳障害診断装置「Neos」と、アイトラッキング技術を搭載するVarjoのVRヘッドセット「Varjo Aero」を組み合わせることで、ヘッドセットによる「標準化、自動化された神経眼科検査」の実現を目指す。

神経眼科は、視覚に影響を与える脳障害に関する臨床分野である。視覚は脳の広い領域に関与しているため、目と瞳孔の動きを調べることで様々な脳障害を検出することが可能で、machineMDによると、多発性硬化症(MS)の約25%と脳腫瘍の50%は、神経眼症状に基づいて診断されている。 目と瞳孔の動きを捉えるNeosは、こういった脳障害の早期発見を支援する診断ツールとして開発されており、machineMDでは、本提携に基づきさらなる開発を進めることで、2023年末までに欧州および米国の規制当局から承認を獲得し、上市することを目指している。


出典:macineMD

Varjo が2021年にリリースしたVRヘッドセットのAeroでは、2台のビルトイン高速カメラと赤外線照明を活用して、ユーザーの目のイメージを200ヘルツで撮影する。瞳孔位置や瞳孔拡張、瞳孔間距離(IPD)のほか、焦点や視線移動パターンなどの情報も測定できるという。 Varjoのアイトラッキングソリューションは、独自の赤外線照明パターンの使用により業界をリードしており、より正確で一貫した結果を得ることができるという。


神経眼科検査の大半は現在、マニュアルで行われている。 machineMDによると、マニュアルの検査は時間を要する上、神経眼科医には数年に渡る専門的なトレーニングが必要となるが、多く神経眼科医では専門的なトレーニングが不足している状況だ。神経眼科の診断は困難で、誤診断や発見の遅れなどが問題となっていることから、machineMDでは新しい医療機器の開発が診断改善に貢献できる余地があると見込んでいる。

(了)


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