2023/02/28

米国eHealthジャーナル第83号

介護者支援アプリのAvanlee Careと小売り大手Walmartが提携

エイジテック, 提携, Walmart, ジャーナル第83号

「aging-in-place」を支援するモバイルアプリを展開

一部報道は1月13日、小売り大手のWalmartと介護者支援アプリを開発するAvanlee Care(以下、Avanlee)が提携し、報酬を得ることなく家族にケアを提供する介護者の支援を目的としたプログラムを開始したと発表した。Avanlee は1月からWalmartの店舗において、高齢の家族を介護する6,500万人の米国市民にデジタルツールを提供する。65歳以上の高齢者の90%は、住み慣れた街で年を重ねることを意味する「aging-in-place」を希望していると言われ、高齢の家族に無償でケアを提供する家族の負担を大きくしている。

Walmartは、アリゾナ州、フロリダ州、ニューヨーク州、テキサス州の一部のWalmart Supercenter店舗内の薬局および食料・日用品売り場でAvanleeのモバイルアプリを紹介し、買い物客に利用を促す。また、Walmartの担当者が、店舗内でアプリ利用者からの質問に答えるなど、買い物客にサポートを提供する予定だ。Avanleeの創設者兼CEOであるAvanlee Christine氏は、「Walmartのような企業が、Walmartを訪れる買い物客の多くは介護者であるという事実に関心を持ち、彼らが生活しやすくなる方法について考えてくれることを嬉しく思う」と話す。

Avanleeのアプリは、家族の介護に関連して有用な様々なツールを単一のアプリへと統合したもので、家族間のつながりを保ちながら、介護の精神的・経済的負担を共有して、軽減することを目指している。このアプリは、Fitbitなどのウェアラブル端末と連携することで、高齢者の健康状態を家族に知らせることが可能で、また、介護者の負担を軽減するための機能として、診察予約、服薬リマインダー、食料品の買い物リストなどの機能が搭載されている。 HIPAA準拠の非公開メッセージを介護者間で送信することも可能だ。Avanleeによると、被介護者のケアのために平均2~3人の介護者がアプリにアクセスするという。


出典:Avanlee

食料品の買い物リスト機能では、家族の介護者がアプリを使ってWalmart製品群の中から食料品・日用品リストを作成して遠隔から注文し、支払いを済ませることができる。買い物リストは、個人で作成することもできるが、Avanleeが作成した特定の症状に特化したリストの中から選ぶこともできる。用意されたリストには、グルテンフリーの食料品、乳製品を含まない食料品、減塩の食料品、糖尿病患者向けの食料品、手術後のサポートや補助器具などが含まれている。 Avanleeが実施した調査によると、同社のアプリの利用者は、このアプリ1つで介護に必要なさまざまな製品を手に入れられることができ、介護の負担が軽減されていると回答している。

現在、アプリで購入できるのは食料品・日用品と健康食品に限られるが、将来的には医薬品の購入を可能にすることを目指しているという。 Avanleeのアプリの最初の利用者となったのは、Christine氏が10歳の時に認知症と診断された彼女の祖母で、アプリを利用してWalmartの食料品の配達を受けたという。

無料版のアプリでは、家族2人が情報にアクセスできるほか、4種類の医薬品管理、4件のイベント管理、2件のWalmart買い物リストが利用可能である。月額10ドルを支払うと、最大10人の介護者が利用可能となり、アプリで管理する、医薬品、イベント、買い物リストの数の上限がなくなる。月額の支払いを13ドルにすると、一定期間内に最大30人の介護者が参加できるようになる。

Avanleeは、メディケア・アドバンテージ(MA)プラン、民間保険、従業員に保険を提供する雇用主との提携による事業拡大も視野に入れているという。65歳以上の高齢者を対象とする連邦保険プログラムのメディケアのうち、委託先の民間保険によって提供されるものがMAと呼ばれている。同社は、毎週2億3,000万人の米国市民が買い物をする、全米4,500カ所のWalmart店舗で、そのプレゼンスを拡大することを目指している。

(了)


本記事掲載の情報は、公開情報を基に各著者が編纂したものです。弊社は、当該情報に基づいて起こされた行動によって生じた損害・不利益等に対してはいかなる責任も負いません。また掲載記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
Copyright © 2023 株式会社シーエムプラス LSMIP編集部

連載記事

執筆者について

関連記事