2022/10/25

米国eHealthジャーナル第75号

COVID-19データを活用するCKD検出で3社提携

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高リスク患者の早期特定による早期治療介入を目指す

ソフトウェアソリューション会社のHHS Technology Group(以下、HTG)とヘルスデータ会社のDatavant、そしてデータストラテジストのMathematicaは9月13日、慢性腎臓病(CKD)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復後の後遺症であるロングCOVIDを発症するリスクが高い患者を早期に特定することを目的として、これらの疾病に焦点を置いたデータベースとデータ解析プラットフォームを公民両セクターに提供することで提携した。

慢性腎臓病(CKD)とは慢性的に経過するすべての腎臓病を指す。CKDは早期段階では治療で回復するが、初期には自覚症状がほとんどないため、患者は未診断のままでいることが多い。CKD患者はCOVID-19の重症化リスクが高く、予後が悪いことが知られている。

ロングCOVIDは、COVID-19の後遺症で、倦怠感や呼吸困難、筋力低下や集中力低下のほか、睡眠障害やうつ、不安などの精神・神経症状も含まれる。その多くは自然に回復すると見られているが、中には遷延化し症状が進行するリスクもある。

出典:Shutterstock

HTG、Datavant、Mathematicaは、メディケア、メディケイド、病院、ラボ、医師オフィス、民間ペイヤーなど、さまざまなソースからデータを取得、集約、照合、評価するリアルタイムデータ分析プラットフォームを設計した。この豊富なデータから実用的な洞察を得ることで、医療従事者は、CKDやロングCOVIDを発症するリスクのある患者を従来の方法よりも早く特定し、早期の治療介入が可能になるという。


出典:Datavant

合意の下3社は、HTGらが構築を進めていた全米最大級のCOVID-19データセットとデータ解析プラットフォームを利用し、1)予防可能な腎疾患についての知識と理解の深化、2)CKD減少を目指す科学的根拠に基づく戦略の採用推進、3)CKDの予防・検出・管理のための財政的に持続可能なアプローチの特定に取り組む。この提携によりヘルスケア業界のさまざまな関係者が、医療情報のプライバシーを保護する包括的な連邦法、HIPAA (Health Information Portability and Accountability Act)に準拠した患者記録を850億件以上(2022年5月現在)含む、全米最大規模のCOVID-19データベースへのアクセスを得ることとなる。

(了)


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